伝世鏡(読み)でんせいきょう

精選版 日本国語大辞典 「伝世鏡」の意味・読み・例文・類語

でんせい‐きょう‥キャウ【伝世鏡】

  1. 〘 名詞 〙 古墳時代以前に中国から日本に伝来し、幾世代か伝わった後に首長副葬品とされ、前期古墳から出土する鏡。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伝世鏡」の意味・わかりやすい解説

伝世鏡
でんせいきょう

製作後、通常以上に長期にわたって使用したり、保持したものを伝世品というが、銅鏡では、とくに前期古墳に副葬されている漢中期の中国鏡をいう。梅原末治(すえじ)(1893―1983)は、それが漢中期に日本列島に搬入され、その後、古墳に副葬されるまで伝世されたものと解し、小林行雄(ゆきお)(1911―1989)は、弥生(やよい)時代、これらの鏡は司祭的首長の権威を保証するものとして代々伝承されていたが、古墳時代、首長の世襲制確立によって、伝世の必要がなくなり、首長の埋葬される古墳に副葬されるようになった、とみた。いわゆる伝世鏡論である。

田中 琢]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「伝世鏡」の解説

伝世鏡
でんせいきょう

製作された後,いく世代かにわたって伝えられた鏡をいう。とくに古墳から発見された鏡に,新しい時代(魏晋代)に製作された鏡と一緒に古い時代(漢代)に製作された鏡が存在している場合,それを伝世鏡とよんで重視し,その意味を議論する考え方がある。和歌山県隅田(すだ)八幡神社の人物画像鏡や正倉院宝物の鏡なども伝世鏡の一種であるが,古墳発見の伝世鏡とはまったく異なった意味のものである。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伝世鏡」の意味・わかりやすい解説

伝世鏡
でんせいきょう

古墳に副葬されている鏡のうち長い間使用されたのちに納められた鏡をいう。なお鏡に限らず,埋蔵されずに神社や寺に伝えられているものを伝世品,伝来品と呼ぶ。

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