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低血糖症 ていけっとうしょうhypoglycemia

翻訳|hypoglycemia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

低血糖症
ていけっとうしょう
hypoglycemia

血糖減少症ともいう。血液中のブドウ糖が異常に少い状態。ブドウ糖が普通,血液 1dlあたり 45mg以下になると,飢餓感とともに脱力,冷汗,震えなどのショック症状が現れる。起因としては,空腹のほか,糖を燃焼させるインスリンの過剰分泌,糖代謝に関係のある複雑な内分泌関係の異常が関与していることがある。また,インスリン注射や経口血糖降下剤の投与による低血糖もかなり多い。なお,ランゲルハンス島腫瘍インスリノーマの場合には著明な低血糖症状が起る。血糖検査で診断し,原因に応じた治療を行う。

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百科事典マイペディアの解説

低血糖症【ていけっとうしょう】

血液中のブドウ糖濃度は,健康な状態の空腹時で60〜110mg/dlだが,60ml以下になる状態を低血糖症といい,さまざまな神経症状や精神症状が現れる。治療が遅れると昏睡(こんすい)に至ることもある。
→関連項目周期性嘔吐症

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家庭医学館の解説

ていけっとうしょう【低血糖症 Hypoglycemia】

[どんな病気か]
 血糖値(けっとうち)(血液中のぶどう糖の濃度)は、正常では、空腹時で1dℓあたり70~110mgという、比較的狭い範囲に保持されています。それは、血糖値が上昇するとインスリン分泌(ぶんぴつ)が増え、下がると減少するネガティブフィードバック機構で調整されているからです。この値は、糖尿病のない人では、食後にはかってもほとんど変わらないほどです。
 わたしたちのからだは、どの細胞も血液中に含まれるぶどう糖をおもなエネルギー源として活動しており、ぶどう糖なしでは生きていくことができないため、生体のホメオスターシス(恒常性(こうじょうせい))維持のために、血糖レベルは一定に保持されておくべき必然性があるのです。
 なんらかの原因で血糖値が異常低値(1dℓあたり約50mg以下)になると、さまざまな神経症状や精神症状が出てきますが、この状態を、低血糖症といいます。
 低血糖状態を長く放置しておくと、昏睡(こんすい)になり、さらには死に至ることもあります。また、長時間たってから回復しても、脳の機能はもとにはもどらず、植物状態となることもあります。
 これは、脳の細胞がほかの組織とちがい、ぶどう糖しかエネルギー源として利用できないため、低血糖で脳細胞に十分ぶどう糖がいかなくなり、栄養不足で、酸素不足のときと同様に、脳細胞が壊死(えし)におちいるからです。
[症状]
 急激に血糖が低下してきたときにおこる交感神経系(こうかんしんけいけい)の自律神経(じりつしんけい)症状と、ゆるやかに低下してきたときの中枢神経(ちゅうすうしんけい)症状があります。
 交感神経過敏症状としては、顔面蒼白(がんめんそうはく)、発汗(はっかん)、動悸(どうき)(頻脈(ひんみゃく))、震え、脱力感などで、わりにはっきりした症状のため、すぐわかります。
 中枢神経症状としては、頭痛、複視(ふくし)(ものが二重に見える)、視力低下、傾眠(けいみん)、精神錯乱(せいしんさくらん)、奇妙な行動、昏睡、けいれんなどがあり、極端な場合には死に至ります。
[原因]
 低血糖のおこるもっとも多い例は、インスリンや経口血糖降下薬(けいこうけっとうこうかやく)で治療中の糖尿病の患者さんです。いつもどおりの量の注射ないし内服をしていて、いつもより食べる量が少なすぎたり、運動量が多すぎたりした場合におこりがちです。
 膵(すい)ランゲルハンス島のインスリンを分泌しているβ(ベータ)細胞(B細胞)に、インスリノーマという腫瘍(しゅよう)(良性の腺腫(せんしゅ)と悪性のがんがある)ができた場合、血糖値に関係なく、勝手にインスリンを出し続けるため、いつもこの過剰インスリン分泌に見合うだけ、なにかを食べ続けていなければ、低血糖がおこってきます。そのほか、サルファ剤やアルコールの飲み過ぎでもおこる場合があります。
[治療]
 原因のいかんを問わず、すぐに砂糖水を飲ませるか、ぶどう糖の注射をして、早く意識を回復させます。その後、原因を突きとめる検査を進めます。インスリノーマの場合は、腫瘍摘出で完全に治ります。

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世界大百科事典 第2版の解説

ていけっとうしょう【低血糖症 hypoglycemia】

血液中にはグルコース(ブドウ糖)が存在し,身体の主要なエネルギー源となっている。このグルコースを血糖というが,なんらかの原因でこの値が病的に低下した状態を低血糖症という。正常人では早朝空腹時の血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は60~100mg/dl(静脈血)であり,食後数十mg/dl上昇し,しだいに消費されて再び元の定常状態にもどるのであるが,50mg/dl以下に低下すると飢餓感とともに,皮膚蒼白,脱力感,動悸,冷汗,手足の震えなどを起こし,ついには意識障害から昏睡状態となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

低血糖症
ていけっとうしょう

血液中の糖分が低くなりすぎた状態で、症状として空腹感がおこり、動悸(どうき)、手足のふるえ、冷や汗、頭痛などがみられる。低血糖の状態が長く続いて重症になると、けいれんをおこして意識がなくなる(低血糖昏睡(こんすい))こともある。乳児では呼吸が速くなり、ついで呼吸数が減って口唇が紫色(チアノーゼ)になり、泣き声も弱くなってけいれんをおこし、意識がなくなる。
 一般に、飢餓状態が続いたり、糖尿病の治療でインスリンを多く注射してしまったり、インスリンの注射後に食欲がなくて食事をしなかったりすると、低血糖症になる。また、インスリンを過剰に分泌する腫瘍(しゅよう)が膵臓(すいぞう)にできる(インスリノーマ)と、低血糖症が明け方や夕食前の空腹時にみられる。肝臓病の場合も糖代謝が平滑に行われず、低血糖症をおこすことが少なくない。そのほか、糖尿病の発病初期にもおこりやすく、新生児では先天性の糖代謝異常によることもある。診断は、血液中の糖分(血糖)を測定し、1デシリットル中の血糖値が45ミリグラム以下であれば低血糖症である。しかし、慣れや個体差があって、血糖値と症状の出現はかならずしも伴わないので注意する。治療は、急性の場合ブドウ糖を静脈内に注射する。軽症の場合は砂糖水やキャンデーを経口投与する。腫瘍によるものは手術で摘出する。なお、糖尿病でインスリン注射をしている患者は、低血糖症にならないよう注意するとともに、応急処置も十分心得ておくことがたいせつである。[高野加寿恵]
『パーボ・エイローラ著、大沢博訳『低血糖症 現代病への新しいアプローチ』(1996・ブレーン出版)』

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