翻訳|grape sugar
D-グルコースglucoseともいい,最も代表的なアルドヘキソースである。遊離の状態で甘い果実の中に多量に存在し,動物体内には,血液,脳脊髄液,リンパ液中に少量含まれるが,糖尿病患者の尿中には多量にみられる。麦芽糖,ショ糖,乳糖などの二糖類の構成糖であるほか,デンプン,グリコーゲン,セルロースなどの多糖および各種配糖体の基本単位である。炭水化物が体内で分解されてエネルギーに変わる場合には,一度ブドウ糖あるいはブドウ糖リン酸エステルに変化する。多くの生物にとって,最もよいエネルギー源であり,解糖によって分解され,発酵,呼吸に使用される。
ブドウ糖は,六つの炭素をもつ六炭糖で,水溶液中ではα-D-グルコースとβ-D-グルコースが3:2の割合で平衡に達する。
ブドウ糖の甘みは,舌の上で吸熱する涼感のあるもので,甘味度は砂糖の100に対して63~88と,かなり幅がある。一般にブドウ糖の甘みは,溶液が濃厚であるとき,および低温であるときに強く感じる。これは,溶液中でのα⇄βの平衡が濃厚状態あるいは低温で甘みの強いα型が増加する方向に平衡がずれるためと考えられている。
ブドウ糖は,工業的にはデンプンにα-アミラーゼ,グルコアミラーゼという2種類の微生物アミラーゼを作用させて加水分解して得る。製造されたブドウ糖は,甘味料,食用,医薬用その他に用いられるが,日本においては,含水結晶ブドウ糖,無水結晶ブドウ糖,精製ブドウ糖の3種類についてJAS(日本農林規格)が制定されている。ブドウ糖原料としては,いかなるデンプンも利用できるが,現在は,コーンスターチ,サツマイモデンプン,ジャガイモデンプンが用いられている。
(1)含水結晶ブドウ糖 JASで決められているものは,水分含量8.0~10.0%で,ブドウ糖以外のデキストリン分が0.5%以下(特級),1.5%(標準)でひじょうに純度の高いものである。結晶槽で温度降下法によって50~200nmの粒形に結晶させて分蜜し乾燥する。用途はパン,粉末製品,ガム,洋菓子,和菓子,缶詰,清涼飲料,ソルビットなどである。
(2)無水結晶ブドウ糖 デキストリン含量は含水結晶ブドウ糖と同じ。水分含量が0.5%以下。砂糖と同様に結晶缶で蒸発濃縮しながら50~200nmの粒形に結晶させ分蜜,乾燥させる。おもな用途は,ガム,粉末製品,洋菓子,和菓子,缶詰,清酒,医薬用などである。
(3)精製ブドウ糖 デキストリン含量3%以下で水分含量10%以下のものである。精製,濃縮した糖液を小型容器で固結させ切削して粉末にする方法や噴霧乾燥などにより急速結晶させ球状に造粒する方法で製造する。おもな用途は,パン,洋菓子,和菓子,清涼飲料,清酒,缶詰,冷菓などである。
執筆者:貝沼 圭二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 あなたの健康をサポート QUPiO(クピオ)生活習慣病用語辞典について 情報
…アルデヒド基を含むものをアルドースaldose,ケトン基を含むものをケトースketoseと呼ぶ。日常生活で最もよく出会う単糖はD‐グルコースD‐glucose(ブドウ糖)でC6H12O6の分子式をもつ。この炭素原子は連鎖状に配列し,最も外側の一つがアルデヒド基となっている。…
※「葡萄糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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