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住宅セーフティーネット(読み)じゅうたくせーふてぃーねっと

知恵蔵の解説

住宅セーフティーネット

経済的な危機に陥っても最低限の安全を保障する社会的な制度や対策の一環として、住宅に困窮する世帯に対する住宅施策。戦後復興期に創設された公営住宅制度が基本になっている。低所得者高齢者、災害被災者、一人親世帯、DV被害者などに安全で良質な住まいを提供することを中心とし、新しい住生活基本法等で強調して取り上げられている。公営住宅(都道府県営住宅、市町村営住宅など公営住宅法に基づいて整備される住宅)の機能は、(1)災害対応等緊急時の対応や所得が極めて低い者への対応など、市場が機能しない、または市場だけでは対応できないものへの対応、(2)バリアフリー化賃貸住宅、規模の比較的大きな賃貸住宅や民間が入居を敬遠する高齢者、障害者等への対応など、市場では十分に供給されないものの補完、など。全国で約219万戸が供給されている。

(平井允 まちづくりプランナー / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

住宅セーフティーネット
じゅうたくせーふてぃーねっと

低所得者、障害者、高齢者などが独力で速やかに住宅を確保できるようにする社会的仕組み。所得水準・家族構成・身体的状況にかかわらず、最低限の安全な暮らしを保障するため、だれでも住宅を確保できる環境を整えようという発想に基づいた社会制度である。2007年(平成19)7月に公布・施行された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(平成19年法律第112号。略称、住宅セーフティーネット法)第1条に、対象は「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者」と定義されており、法的には「住宅確保要配慮者」とよぶ。具体的には低所得者、障害者、高齢者のほか、外国人、小さな子供のいる子育て世帯、母子・父子家庭、犯罪被害者、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者、戦傷病者・原子爆弾被爆者、ホームレス、被生活保護者、海外からの引揚者、ハンセン病療養所入所者など自力で住宅を確保しにくい状況にあるすべての人々が対象となる。
 セーフティーネット対策は、住宅セーフティーネット法と、2006年に制定された住生活基本法に基づく住生活基本計画(2011年閣議決定)に沿って進められている。民間の住宅市場機能の不備を補うため、公営住宅の供給や斡旋(あっせん)を基本方針とし、住宅確保要配慮者が公営住宅に優先的に入居できる仕組みづくりを求めている。また民間賃貸住宅に入居しやすい環境を整備するため、入居可能な住宅情報を提供する「あんしん賃貸支援事業」を進めるほか、住宅ローンの金利優遇や債務保証、バリアフリー化改修への税優遇措置などの支援、民間賃貸住宅の事業主への補助などを実施している。また、自力で住居を探すのがむずかしい人々への支援の受け皿として、地方自治体に非営利団体や不動産業者と協力して「居住支援協議会」を設置するよう求めている。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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