戸籍簿および住民票の記載に際して用いられる,一定の者との関係を示す用語。日本の戸籍制度は,欧米の個人別身分証書制度(身分登録制度)と比べて,一定の人間を中心として,その人からの続柄をもって他の人をとらえられるという特徴をもっている。続柄は大きく分けて,嫡出子について父母との関係を表す場合と,戸主や世帯主など家族・世帯の統率者ないし代表者との親族的身分関係を表す場合の2種がある。
現行法では,前者の場合として実父母との続柄(戸籍法13条4号)および養親との続柄(同法5号)があり,後者の場合として世帯主との続柄(戸籍法施行規則55条1号,住民基本台帳法7条4号など)がある。なお,戸籍筆頭者との続柄というものはない。夫婦(父母)あるいは父または母と,同じ氏を称する子を一つの単位として戸籍を編製しているからである。このほかにも,現行法施行前の旧法においては,戸主との続柄(1914年戸籍法81条4号,100条6号など)があった。
改正前の民法,戸籍法では,戸籍は家の統率者である戸主を本(もと)として編製され,家族員はそれぞれ名欄の上部に戸主との続柄を付された。また戸籍は家督相続が行われるつど,新戸主を中心につくり変えられた。戸主については〈前戸主トノ続柄〉欄があり,また戸主の血族でない者には〈家族トノ続柄〉欄が設欄され,〈二男礼二郎妻〉などと記された。
現行民法の下では戸主制度はなくなったので,続柄は子について用いられる実父母および養親との続柄だけとなっている。嫡出子は父母を同じくする子について,男女それぞれ出生の順序に従って〈長男(女),二男(女),三男(女)〉と称される。そこで再婚者の戸籍には複数の〈長男(女)〉が存在することになる。養子については実父母との続柄欄の左に〈養子〉という養親との続柄が併記される。嫡出でない子については,父の認知の有無にかかわらず,〈男(女)〉が用いられる。
住民票は世帯主を中心に編成され,世帯主との続柄が記される。世帯主と子どもとの関係を示す続柄の表記については,子どもの人権を尊重する国際的・国内的機運のなかで,1995年3月1日から父母が法律上の婚姻関係にあるか否かにかかわりなく,〈子〉に統一され,〈長男(女)〉は廃止された。なお,国民健康保険証の続柄欄については,すでに91年2月から〈子〉に統一されている。このほか,親族的身分関係のない世帯員には,〈同居人〉〈妻(未届)〉〈縁故者〉〈妻(夫)の子〉などの続柄が用いられている。なお,戸籍では戸籍筆頭者が死亡しても筆頭者の地位の交替は起こらないが,住民票では世帯主変更があるため,それに付随して続柄も変更されるたてまえとなっている。
執筆者:星野 澄子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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