何様(読み)ナニサマ

デジタル大辞泉 「何様」の意味・読み・例文・類語

なに‐さま【何様】

[名]
様づけで呼ばれるような身分の方。高貴な人。皮肉の意を込めて用いることが多い。「何様でもあるまいし、それくらい自分でやれ」
《「なにざま」とも》どんなようす。どのよう。
「かの尋ね出でたりけむや、―の人ぞ」〈玉鬘
[副]いかにも。まったく。
「―近来に稀れなる一珍事なり」〈鉄腸南洋の大波瀾〉
[類語]1俺様

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何様」の意味・読み・例文・類語

なに‐さま【何様】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 状況を不明なものとして指示する。どんな様子。どのよう。なによう。
      1. [初出の実例]「なにさまの事ぞわれにはつつむ事あらじとなむおもふとの給へば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
    2. ( 何とかというお方の意で ) 高貴な人、豊かな人などを漠然とさす。
      1. [初出の実例]「何様の邸でもあるまいし」(出典:香華(1962)〈有吉佐和子〉二五)
      2. 「いったい自分を何様(ナニサマ)だと思っていやがる」(出典:黄色い鼠(1977)〈井上ひさし〉一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 一つの判断や主張を、どう見てもそうなるという気持を加えて強める感情を表わす語。とにかく。いかにも。たしかに。全く。
    1. [初出の実例]「不使無極、何様可行之旨可申也」(出典:後二条師通記‐寛治六年(1092)二月二五日)
    2. 「貧相に見えるが、何様(ナニサマ)一の政治家には違ひない」(出典:雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉下)

何様の補助注記

[ 一 ]については、「なによう」「いかさま」が、[ 二 ]については「いかさま」が同じように用いられ、漢字で「何様」と書かれたものはその区別を判別しがたい。


いずれも‐さまいづれも‥【何様】

  1. 〘 代名詞詞 〙
  2. 他称。複数の上位者を指す。皆様
    1. [初出の実例]「何れも様もおとりこみ」(出典:歌舞伎・傾城金秤目(1792)五)
  3. 対称。複数の上位者を指す。「いずれも」より敬意が高い。→いずれもがた
    1. [初出の実例]「是は何れも様近頃御苦労に存まする」(出典:虎寛本狂言・右近左近(室町末‐近世初))

どの‐よう‥ヤウ【何様】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 どんなふう。いかなるよう。
    1. [初出の実例]「そなたの咽にはどのやうな酒石(やけいし)があるぞ」(出典:浮世草子好色万金丹(1694)三)
    2. 「何様(ドノヤウ)にも売捌(うりさばき)が付いたら」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉四)

なに‐よう‥ヤウ【何様】

  1. 〘 名詞 〙 状態の不明・不定なさまを表わす。どんな様子。どのよう。
    1. [初出の実例]「なにやうのもの、かくひとをまどはしたるぞ、と有さまばかりいはせまほしうて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)

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