事業場における労働者の生命・健康の保全のために安全保持の業務に従事する者をいう。保安要員の従事する業務は、安全保持のための物的な施設(たとえば鉱山における落盤などの鉱害・危害の防止施設、病院における人命危害の防止あるいは衛生上不可欠な施設)において人命ないし衛生上の危害防止に必要な業務をさし、使用者の便宜を図るような業務(たとえば守衛、秘書、タイピスト、警備員)は含まれない。鉱山保安法(昭和24年法律第70号)では、鉱業権者は保安技術職員と総称される保安要員の選任が義務づけられており、保安技術職員には国家試験による一定の資格が要求されている。労働関係調整法(昭和21年法律第25号)第36条は、争議行為に関連して、工場、事業場における安全保持施設の正常な維持あるいは運行を停廃し、これを妨げるような争議行為を禁止している。また、スト規制法(電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律。昭和28年法律第171号)第3条は、石炭鉱業における争議行為に関連して、保安業務の正常な運営を停廃し、人に危害を及ぼす行為を厳しく禁止している。
[村下 博・吉田美喜夫]
労働組合員でありながら,争議行為時に就労義務が免除されることなく,会社の施設や資材製品等の保守と安全確保に当たる従業員をいう。たとえば炭坑鉱山会社における坑道保守やガス探知などの安全確保,石油化学会社におけるプラントの安全点検監視のために,保安要員が配置される。保安要員の対象となる従業員の範囲は,会社と労働組合との間の争議協定のなかで定められる。争議中の保安事項に関する協定を保安協定と呼ぶこともある。これらは労働協約の一部をなし,債務的効力をもつ。労使双方ともにこれに違反すると債務不履行責任を問われる。保安要員は争議協定(または保安協定)に従って,使用者の保安業務の指揮命令に服する義務を負う。なお,労働関係調整法36条は争議行為時の安全保持の義務を課しており,保安協定違反の保安要員の引揚行為がこの要件に該当するとき,この争議行為は正当性をもたず刑事,民事の免責を受けることができない(労働組合法1条2項,8条)。
執筆者:渡辺 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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