連帯保証(読み)れんたいほしょう

精選版 日本国語大辞典 「連帯保証」の意味・読み・例文・類語

れんたい‐ほしょう【連帯保証】

〘名〙 保証人が、主たる債務者と連帯して履行する保証債務。普通の保証債務と異なり、連帯保証人催告および検索抗弁権をもたない。

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デジタル大辞泉 「連帯保証」の意味・読み・例文・類語

れんたい‐ほしょう【連帯保証】

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担することを約束すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「連帯保証」の意味・わかりやすい解説

連帯保証 (れんたいほしょう)

保証一種で,保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担するもの。ふつうの保証と違って,連帯保証には補充性がなく,したがって,債権者は連帯保証人から〈催告の抗弁権〉や〈検索の抗弁権〉を対抗されないから,連帯保証された債権者の権利はふつうの保証よりも強力である。また,保証人が数人いる場合にも,連帯保証した保証人は分別の利益をもたないから,この点でも連帯保証はふつうの保証よりも債権者にとって有利である。したがって,連帯保証は実務上ひんぱんに用いられている。このほか,連帯保証には,連帯債務の絶対的効力に関する規定(民法434~439条)が適用され,連帯保証人について生じた事由一定範囲で主たる債務者に効力を及ぼす。この点でも連帯保証はふつうの保証と異なる。

 連帯保証が成立するためには,保証契約において,とくに連帯である旨の特約がなされることが必要である。なお,主たる債務者と債権者との間の法律行為が無効または取り消されて主たる債務が効力を生じないときには,保証の付従性により連帯保証債務も成立しない。この場合に限らず,主たる債務者について生じた事由は,保証の付従性により,すべて連帯保証人にその効力を及ぼす。反対に,連帯保証人について生じた事由は,民法434~440条の規定に従って主たる債務者に効力を及ぼす,とされる(458条)。すなわち,連帯保証人に請求すれば主たる債務者に請求したことになるし,連帯保証人と債権者との間の更改または連帯保証人の相殺は主たる債務者についても効力を及ぼし,さらに連帯保証人と債権者との間で混同(相対立する二つの法律的地位が,相続等によって同一人に帰すること)を生じたときには弁済をしたものとみなされる。しかし,連帯保証人には負担部分がない(ゼロである)から負担部分を前提とする規定は準用されないと解されている。したがって,たとえば,連帯保証人を免除しても,また連帯保証人について時効が完成しても,主たる債務者には効力を及ぼさない。

 連帯保証人が債権者に保証債務を履行したときには,ふつうの保証の場合と同じように,主たる債務者に対して求償権を取得する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連帯保証」の意味・わかりやすい解説

連帯保証
れんたいほしょう

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担し、主たる債務の履行を担保すること。連帯保証は特約によって生ずるほか、主たる債務が商行為によって発生したものであるとき、または保証契約が商行為にあたるときは、原則として連帯保証となる(商法511条2項)。連帯保証の場合には、普通の保証の場合なら保証人が債権者に対して有する催告の抗弁権(民法452条)や検索の抗弁権(同法453条)が認められない。すなわち、連帯保証人の責任は補充的な責任ではなく、第一次的な責任である。また、連帯保証人の責任は全額責任であって、債務額につき部分的に責任を負担するのではない(いわゆる「分別の利益」が存しない)。

 連帯保証の主要な効力については、次のとおりである。(1)連帯保証人の債務も保証債務の一種であって付従性に基づく権利が認められるので、連帯保証人は、普通の保証人と同様に、債務者が債権者に対して有する抗弁権を主張しうる。(2)主たる債務者または連帯保証人につき生じた事由の効力、主たる債務者に対する時効中断の効力は、連帯保証人に及ぶ(民法457条1項、458条)。(3)連帯保証人に対する請求およびその効力は、主たる債務者にその効力を及ぼす。また、連帯保証人について生じた事由の効力は、主たる債務者にその効力を及ぼす。たとえば、連帯保証人と債権者との間に更改がなされたときは、債権は主たる債務者の利益のために消滅する。(4)連帯保証人の主たる債務者に対する求償関係については、普通の保証の場合と同様である。すなわち、A(主たる債務者)がBより100万円を借入れし、Cがこの借金につき連帯保証人となった場合に、CがAにかわって100万円を支払ったときは、CはAに対して求償権を有することになり、CはAに対して100万円の支払いを請求できることになる。この求償権の範囲は、保証人が委託を受けていた場合(同法459条・442条)と受けていなかった場合(同法462条)とで異なる。

[竹内俊雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「連帯保証」の意味・わかりやすい解説

連帯保証
れんたいほしょう
Solidarbürgschaft

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証。保証債務の一種として,主たる債務に対して付従性 (責任の主従) があり,この点で連帯債務と異なるが,主たる債務者と連帯しているため補充性 (責任の先後) が認められず,債権者から主たる債務者に対するよりも先に請求を受けたとしても,催告の抗弁権および検索の抗弁権を行使できない (民法 454) 。また主たる債務者,連帯保証人に生じた事由が,連帯債務と同じく互いに影響を及ぼすものとされる (民法 458) が,保証債務である以上,付従性を有するところから,その限度で連帯債務の規定の準用は制約されると解されている。このほか,一般の保証と同様,連帯保証人には固有の負担部分はないので,債権者の請求により履行したときは,主たる債務者に対して全額につき求償権を行使しうる。連帯保証契約を結ぶ際の保証人と債権者の特約によって成立する。なお商法では,商事債務に関する保証は連帯保証となる旨を規定している (511条2項) 。

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百科事典マイペディア 「連帯保証」の意味・わかりやすい解説

連帯保証【れんたいほしょう】

保証人が主たる債務者と連帯して負う保証債務。連帯保証債務には補充性が認められず,連帯保証人には催告の抗弁権,検索の抗弁権がない(民法454条)から,債権者は直ちに連帯保証人に執行することができる。しかし保証であるから付従性があり,主たる債務とともに消滅する。普通の保証債務と同じく弁済をした連帯保証人は主たる債務者に求償を請求できる。
→関連項目連帯債務

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M&A用語集 「連帯保証」の解説

連帯保証

実際の債務者 (主たる債務者) と連帯して、その債務の弁済を履行することを保証すること。普通の保証とは異なり、主たる債務者が債務不履行とならなくても保証の履行を要求できる。非公開会社が借入をする際、代表者のほとんどが連帯保証人となっている。

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世界大百科事典(旧版)内の連帯保証の言及

【保証】より

…すなわち,保証債務は主たる債務が履行されない場合に履行すべき債務であって,保証人は〈催告の抗弁権〉および〈検索の抗弁権〉を有する。なお,同じ保証であっても連帯保証にはこのような補充性がない。
[成立]
 保証債務は保証人と債権者との間の契約(保証契約)によって成立するが,この保証契約の成立には,物や金銭の授受を必要としないし,形式も必要としない。…

【連帯債務】より

…しかし,連帯債務者間には,主観的共同関係があり,それゆえ民法434~439条の絶対的効力が生じるのに対して,不真正連帯債務は債務の偶然的競合にすぎず,したがって民法434~439条の絶対的効力が生じない点で,両者は異なる,とされる。 連帯債務はさらに,債権担保(人的担保)の機能を果たす点で,連帯保証と類似している。しかし,連帯保証は保証の一種であって,主たる債務に対して付従性を有する(主たる債務が存在しなければ,連帯保証債務も存在しない)点で,各人が独立に債務を負っている連帯債務と異なる。…

※「連帯保証」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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