年中行事絵巻(読み)ねんじゅうぎょうじえまき

  • ねんちゅうぎょうじえまき
  • ねんちゅうぎょうじえまき ‥ギャウジヱまき
  • ねんちゅうぎょうじえまき〔ネンチユウギヤウジヱまき〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

「ねんちゅうぎょうじえまき」ともいう。平安時代末期の宮廷公家における年間の儀式祭事法会遊戯などを中心に,民間風俗を描いた絵巻。御白河法皇の下により御用絵師常磐光長らが描き,飛鳥井雅経,また藤原教長筆とされるが確証はない。原本は保元2~治承3 (1157~79) 年頃成立と推定され,60巻の大作であったが次第に散逸し,寛文1 (1661) 年に内裏火災焼失。しかし江戸時代初期,焼失以前に後水尾上皇の命で住吉如慶,具慶らが写した白描模本 16巻をはじめ,諸系統の模写が伝存し,平安末期の宮廷や民間の年中行事を知る貴重な資料とみなされている。

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百科事典マイペディアの解説

平安後期の絵巻後白河天皇の命で常磐(ときわ)光長が描いたとされるが,光長ら数人の合作であろう。60巻の原本は焼失し,住吉如慶一門の手になる江戸時代の模本17巻が現存。宮廷を中心とするの年中行事の記録だが庶民生活も多く描きこまれ風俗資料として貴重。絵は流暢(りゅうちょう)な線で《伴大納言絵詞》の画風に近い。

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世界大百科事典 第2版の解説

12世紀後半(平安末期),後白河法皇の命により宮廷や公家の年中行事,四季の遊楽などを記録するため制作された60余巻にも及ぶ絵巻。原本は蓮華王院(三十三間堂)宝蔵に収蔵され,宮中典儀の軌範となったが,しだいに散失し,ついには江戸初期の内裏の大火で焼失してしまった。わずかに残った原本を1661年(寛文1)前後住吉如慶・具慶父子が模写した朝覲行幸,斎会,賭弓内宴などを内容とする16巻をはじめ,諸家に伝わる模本類によって,わずかに当初の3分の1ほどの図様をしのぶにすぎない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絵巻。平安時代における宮中の儀式や、祭事、法会(ほうえ)、民間の宗教上の風俗など、年中の行事を集めて描いたもの。平安末期に後白河(ごしらかわ)法皇が六十巻余に及ぶ絵巻を常盤光長(ときわみつなが)を中心に制作させ、藤原基房(もとふさ)に校閲させて蓮華(れんげ)王院(三十三間堂)の宝蔵に収め後世に伝えた。この原本はしだいに散逸し、残ったものも江戸時代に幾たびかの内裏(だいり)の炎上で焼失した。現在は失う前に模した模本が伝わり、田中家その他に分蔵される。これは、1661年(寛文1)ごろ、宮中にあった原本を土佐広通(ひろみち)(住吉如慶(じょけい))が写した白描(はくびょう)模写十六巻をはじめとしたもので、二十四、五巻分の図様を伝えている。近世の模写とはいえ、平安時代の風俗資料としてきわめて高い価値を有する。

[村重 寧]

『福山敏男編『新修日本絵巻物全集24 年中行事絵巻』(1978・角川書店)』『小松茂美編『日本絵巻大成8 年中行事絵巻』(1977・中央公論社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

絵巻物。平安後期の宮廷行事や祭礼、法会などを描いたもの。原本は六〇巻といわれ、後白河院の命で常磐光長らが描いたが失われ、現在は寛文元年(一六六一)頃に住吉如慶らが模写した一六巻のほか、数種の模本が伝えられている。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

平安末期の絵巻物
12世紀後半の成立。60巻。後白河院の命で常盤光長らが描いたといわれ,平安時代の宮中の儀式,民間の行事,風俗などさまざまな行事が描かれている。数次の火災で焼失し,現在住吉如慶 (すみよしじよけい) らが模写した17巻,その他2巻の模本が残っている。平安後期の宮廷行事・都市生活を知る貴重な風俗史資料。

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世界大百科事典内の年中行事絵巻の言及

【細男】より

…大社寺の祭礼に巫(みこ),師子舞,田楽(でんがく),王の舞,十烈(とおつら),猿楽などとともに出た芸能で,《栄華物語》巻二十四に,〈御霊会の細男の手拭して顔隠したる心地するに〉とあるように,その芸態は,烏帽子姿の者が白布で顔を隠し,胸につけた鼓を打つ。平安時代末の姿を伝える《年中行事絵巻》の祇園御霊会の図中に,馬乗姿が描かれている。細男が顔を隠すことは《八幡愚童訓》に次の説話が載る。…

※「年中行事絵巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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