光周性(読み)こうしゅうせい(英語表記)photoperiodism

翻訳|photoperiodism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

光周性
こうしゅうせい
photoperiodism

適当な周期 (昼と夜のような) で生物に光を与えたときに,生物に起る反応をいう。ある品種のタバコは自然状態では夏には開花しないが,毎日の日照時間を 12時間以下に制御すると夏でも夏以外にも花芽形成させることができる。これはタバコのもつ光周性のためである。催花に必要な明期対暗期の比率 (実際には暗期の長短が制限因子である) は植物の種類によって異なる。厳密にはいえないが,一定時間以上の暗期 (多くは約9時間以上) をもつ光周性を与えなければ催花しない植物を短日植物 (オナモミ,ダイズなど) という。また一定時間以上の明期もしくは以下の暗期をもつ光周性が催花に必要な植物を長日植物 (ビートでは 11時間以上の明期,ホウレンソウでは 13~14時間以上の明期,ヒヨスでは 10~11時間以上の明期) という。明期 (日長) の時間には関係なく催花する植物を中性植物 (トマト,ソバ,トウモロコシ,キュウリ,トウガラシなど) という。花以外の栄養器官 (塊茎,落葉など) の生長や形態形成にも光周性がある。また昆虫,鳥などの発育,性的成熟と生活環展開にも光周性がある。

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知恵蔵の解説

光周性

生物が日長変化、つまり昼(明期)と夜(暗期)の光の明暗周期に反応すること。キクやイネなどの短日植物は暗期のほうが明期より長い光周期(短日条件)に一定時間さらされると花芽を形成し、ホウレンソウやコムギなどの長日(ちょうじつ)植物は逆に明期が比較的長い長日条件下で花芽を形成する。昆虫や鳥類などの動物でも、休眠や繁殖などの生理的反応が光の明暗周期に支配されており、チョウなどでは、幼虫期の日長時間や温度によって成虫の表現型が異なり、春型と夏型が生じる。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

こうしゅう‐せい〔クワウシウ‐〕【光周性】

生物が日照時間の変化に対して反応する性質。植物では花芽の形成や開花にみられ、この反応の違いによって長日植物・短日植物などに区別される。動物では、特に鳥・昆虫などの生殖や発育に関与する。ひかりしゅうせい。

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百科事典マイペディアの解説

光周性【こうしゅうせい】

昼夜など明暗の周期に応じて,生物が行動や生理などを適合させる性質。植物の花芽の形成は最も有名。多くの春咲植物のように,昼の時間(日長,明期)が一定の長さ以上になると花芽をつけるものを長日植物,多くの秋咲植物のように,逆に短くなると花芽をつけるものを短日植物という。また日長に無関係に花芽を形成できるものを中日植物という。明期と暗期の長さは,花芽形成ホルモンであるフロリゲンの生成などに影響を与えると考えられるが,フロリゲンそのものについての詳細は不明。花芽形成以外にも,茎の伸長,落葉などは光周性に依存している。動物では,脊椎動物の渡り・回遊などの移動運動,発情,換羽,毛変りのほか,昆虫の休眠・羽化も光周期の支配を受けている。動物の場合,生物時計が存在し,それによって1日の明暗時間の変化を感知すると考えられる。
→関連項目短日植物長日植物

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世界大百科事典 第2版の解説

こうしゅうせい【光周性 photoperiodism】

1日の明暗サイクルを光周期と呼び,生物が光周期の季節的な変化に反応して物質代謝・発育・生殖・行動などを調節する性質を光周性という。生物界に広く見られ,環境の季節的な変化にたいする重要な適応機構である。
[動物における光周性]
 昼夜の長短は,直接に動物の活動を阻害したり生存をおびやかしたりしない。しかしその規則正しい年周期は,動物たちにとって好適な季節から不適な季節への移変りを示す情報,いわばカレンダーとして用いられるのである。

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大辞林 第三版の解説

こうしゅうせい【光周性】

生物が日照時間の変化に対して反応する性質。長日植物・短日植物の区別は花芽形成に関する光周性の違いに基づく。動物における生殖腺の発達・休眠などにも光周性がある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

こうしゅう‐せい クヮウシウ‥【光周性】

〘名〙 生物が明期または暗期の長さの変化に対して反応する性質。植物の花芽の形成や開花で顕著にみられる。長日植物、短日植物などの区別はこの差異に基づく。動物では特に鳥、昆虫などの生活や発育に重要な役割をもつ。

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世界大百科事典内の光周性の言及

【光周性】より

…1日の明暗サイクルを光周期と呼び,生物が光周期の季節的な変化に反応して物質代謝・発育・生殖・行動などを調節する性質を光周性という。生物界に広く見られ,環境の季節的な変化にたいする重要な適応機構である。…

※「光周性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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