長日植物(読み)チョウジツショクブツ(英語表記)long-day plant

デジタル大辞泉 「長日植物」の意味・読み・例文・類語

ちょうじつ‐しょくぶつ〔チヤウジツ‐〕【長日植物】

日照時間が長くなると花をつける植物。暗期が一定時間以下になると花芽形成する。ホウレンソウアブラナ小麦など、春から夏にかけて花の咲く植物に多い。→短日植物

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精選版 日本国語大辞典 「長日植物」の意味・読み・例文・類語

ちょうじつ‐しょくぶつチャウジツ‥【長日植物】

  1. 〘 名詞 〙 日照時間が長くなると花をつける植物。ホウレンソウ、アブラナ、カブラなど多くの春咲き植物に見られる。ただし、花芽の形成は光の当たらない時間が一定限度以下になることによって起こる。⇔短日植物

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改訂新版 世界大百科事典 「長日植物」の意味・わかりやすい解説

長日植物 (ちょうじつしょくぶつ)
long-day plant

ホウレンソウやコムギなどのように,日長の長くなってくる時期に花芽をつくる植物。1日のうち光のあたる時間が一定時間より長くならなければ花芽をつくらないものをいうが,実際は暗期の短いことの方が重要なようで,実験的には,暗期さえ短ければ明期が短くても花芽がつくられ,また,暗期が全体としても長い場合でも,途中でごく短時間の光照射が与えられると花芽が分化してくる。自然界では花芽の形成には温度も関係しており,光だけですべてが動いているのではない。花芽の形成に関係するホルモンはフロリゲンflorigen一種だけで,光周期開花ホルモンに直接関係しているのではない。長日条件下では根から移動型のサイトカイニンヌクレオチドが合成されて葉に移動されることや,カンバの芽で長日条件下でアブシジン酸が減少することなどが観察されているが,これらの植物ホルモンの変化と光周期の直接的な因果関係はまだ確かめられていない。
短日植物
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「長日植物」の意味・わかりやすい解説

長日植物
ちょうじつしょくぶつ

暗期の長さがある一定の時間(限界暗期)より短くなるような光周条件下で、花芽の形成がおこるか、あるいはそれが促進される植物をいう。暗期の長さが十分に短ければ、明期の長さは関係がない。長い暗期の場合、光中断を行うと花芽形成がみられる。コムギ、シロイヌナズナナデシコヒヨス、ホウレンソウ、ムクゲムシトリナデシコルリハコベなどは長日植物である。長日植物は一般に、自然界では日長が長くなると花芽が形成される。長日植物の多くは、光周条件(長日)が整う以前に、一定期間、寒冷期を経ることを必要とする(越年性長日植物)。

[勝見允行]

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百科事典マイペディア 「長日植物」の意味・わかりやすい解説

長日植物【ちょうじつしょくぶつ】

日照時間が一定時間以上になるような光周期を与えないと開花しない植物。短日植物の対。全く暗期を必要としないものも多い。ヒヨス,オオムギ,ホウレンソウなどがこの例。一般に二年生植物には長日植物が多い。なお,長日植物はふつう温度による影響が大きい。→光周性
→関連項目電照栽培日長処理

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長日植物」の意味・わかりやすい解説

長日植物
ちょうじつしょくぶつ
long-day plant

一定時間以上日照を与えるような光周期にあわないと花芽の形成を起さない植物 (→短日植物 ) 。事実は,暗期が一定以下に短くなる周期が必要なので,「短夜植物」ともいえるが,このような名称は用いられない。暗期をまったく与えずに日照を与えるだけでもよいものも少くない。アブラナ,ダイコンなどがある。

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世界大百科事典(旧版)内の長日植物の言及

【光周性】より

…【正木 進三】
[植物における光周性]
 光周性に依存する植物の現象としては花芽形成,茎の伸長,休眠,落葉などが知られているが,とりわけ花芽形成についてよく研究されている。植物には日長が短くなると花芽形成をし,花成に至る短日植物,日長が長くなると花成する長日植物,日長とは無関係に花成する中生植物などがある。短日植物のオナモミでは8.5時間以上の連続した暗期が与えられたときに花成が誘導されるので,暗期中に花成促進物質ができると考えられている。…

【電照栽培】より

…植物の花芽形成には日長が重要な影響を及ぼしており,キク(秋ギク)などは日長がある特定の時間よりも短くなった場合にだけ花芽を形成し(これを短日植物という),キンギョソウ,ストックなどは日長がある特定の時間よりも長くなった場合にだけ花芽を形成する(これを長日植物という)。短日植物の花芽形成を抑えて栄養生長を続けさせるために,あるいは長日植物の開花を促進させるために,夜中に数時間電灯照明をして植物を栽培することを電照栽培という。…

※「長日植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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