〈こうじゅうごう〉ともいう。同じ種類の小さい分子が互いに多数結合して巨大な分子,すなわち高分子を生成する重合反応を,光の照射によって行わせること。原料の小さい分子,すなわちモノマー(単量体)が光のエネルギーを吸収して励起されて反応性の高い化学種であるラジカル(遊離基)やイオンとなり,これが重合反応を開始する場合と,モノマー以外のなんらかの化合物が光によって励起されて反応性の高い化学種を生じて重合反応をひき起こす場合があり,後者は光増感重合と呼ばれる。また光によって互いに付加しやすい不飽和基を2個もつ化合物から高分子が生成する反応もある。モノマーとポリマー(重合体)とでは溶解性に差があるので,光重合反応を印刷製版などのための画像形成に利用することができる。たとえば光重合するモノマーと適当な高分子を混ぜたものを支持体に塗布し,ネガを通じて光を照射すると光の当たった部分が重合して不溶となり,溶媒によって処理すると画像が得られる。
→感光性樹脂
執筆者:井上 祥平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
光照射により開始される重合反応。熱重合または触媒熱重合よりも低温で効率よくおこるので、工業的に重要な応用例が多い。反応物分子に直接光を吸収させ、電子のエネルギー準位を高め反応させる非増感重合と、共存する第三者的分子である増感剤に光を吸収させ、そのエネルギーの反応物分子への移動により反応をおこさせる増感重合の二つが知られている。
重合形式には二つの型がある。第一の形式は、光照射によって原料低分子または重合開始剤の原子間の結合が切れて、ラジカル(遊離基)を生成して重合が連続的に進行する例で、1個の開始剤または光量子により104~106の単量体(モノマー)を重合させることができる。光情報記録への応用などがある。第二の形式は、重合体(ポリマー)のなかに存在する二重結合を光照射により交差結合をおこさせ、ポリマーの性質を著しく変化させるものである。ケイ皮酸エステル基を含むポリマーでは、光照射によって二重結合どうしが光重合し、不溶性となる例がある。
光重合はフォトレジスト、写真の画像形成、写真印刷、複写、溶媒を用いない木材・金属の被覆、乾性インクなど、技術革新に役だっている。
[向井利夫]
『徳丸克己編『共立ライブラリー17 光化学の利用』(1978・共立出版)』
光によって誘起される重合.非増感光重合と増感光重合とがある.前者はモノマーが光を吸収し,ラジカル(遊離基)を発生して重合が開始されるものである.後者は重合系に増感剤を共存させ,この増感剤が光によって分解してラジカルを生じ重合を開始する.このときのエネルギー源としては,波長200~360 nm 付近の紫外線が一般に用いられる.光重合では,系内のラジカル生成量と光照射量との間に,比例関係が存在することが大きな特徴の一つとしてあげられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…また光によって互いに付加しやすい不飽和基を2個もつ化合物から高分子が生成する反応もある。モノマーとポリマー(重合体)とでは溶解性に差があるので,光重合反応を印刷製版などのための画像形成に利用することができる。たとえば光重合するモノマーと適当な高分子を混ぜたものを支持体に塗布し,ネガを通じて光を照射すると光の当たった部分が重合して不溶となり,溶媒によって処理すると画像が得られる。…
※「光重合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新