法律上負うべき責任を免除または軽減される旨を定めた約款。多くは、船荷証券や保険証券の裏面に記載される普通契約条款のなかに定められる。船荷証券の免責約款の例としては、運送人が船長・海員などの過失によって生じた損害について責任を負わないという趣旨の過失約款、貨物の内容・品質・数量などに関し不知の表示がなされる不知約款、賠償額を一定の額に限定する旨の賠償額限定約款などがある。しかし法律上とくに免責約款を禁止している場合、たとえば海上運送人の堪航能力に関する注意義務違反や船員の商業上の過失によって生じた貨物の損害(国際海上物品運送法15条1項)や債務者の故意による損害のような公序良俗に反する場合(民法90条)のほかは一般に有効である。
[戸田修三]
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報
…もっとも,顧客は約款の個々の条項について個別に了解することまでは要求されるものではなく,さらに保険,運送,銀行など約款の使用が普遍的である取引分野では約款によるという商慣習が存在し,顧客がとくに異議をとどめないで契約すれば約款に拘束されると考えられているし,また大企業と消費者の間の契約に典型的にみられるように,顧客の側は企業の作成した約款を全体として受け入れたうえでその企業と契約を結ぶか否かの選択しかできないのが通例であるから,顧客の合意といっても形式的・擬制的なものにすぎないことは否定できない(この傾向に着目して,約款を使用した契約は,付合契約ともよばれる)。 このように,顧客側は約款に従わざるをえないことが通例である反面で,伝統的には契約自由の原則(私的自治の原則)に支えられて,免責約款(債務者が原則的には負担しなければならない責任を,とくに免除したり軽減する約款)に典型的なように,企業は顧客側に不利益な内容の契約条項を約款の中に盛り込むことが多く,ここから顧客,とくに消費者のために約款の妥当性を確保するための規制の必要性が盛んに叫ばれている。現在では,一定の不当な約款条項を法律により禁止する立法的規制(国際海上物品運送法など),約款の作成・変更について監督官庁の認可をうけることを要求するなどの行政的規制(保険業法,道路運送法など)のほか,約款を使用した契約をめぐる訴訟で,裁判所が公序良俗(民法90条)違反などの理由によって約款中の条項の効力を否定する司法的規制もときにより行われている。…
※「免責約款」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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