権利濫用(読み)けんりらんよう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

権利濫用
けんりらんよう

権利の行使にあたってその正当な範囲を逸脱し,正当な権利の行使とは認められない状態をいう。民法上,権利の濫用は禁止されている。つまり権利の行使は社会的にみて妥当とされるものでなければならない。権利の行使が濫用と認められたときは,権利行使の効果は生じないで,逆に濫用者自身に損害賠償義務が生じたり,場合によっては濫用者がその権利を失うこともある。この権利濫用禁止の法理は,第2次世界大戦前から判例によって認められていたが,判例の成果をふまえて 1947年の民法改正により「権利ノ濫用ハ之ヲ許サス」という明文が設けられた (1条3項) 。

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世界大百科事典 第2版の解説

けんりらんよう【権利濫用 abuse of right】

法律によって付与されている権利を,その認められる社会的な意義ないし目的を逸脱して行使すること。たとえば,自分に固有の利益がないのに,他人を害する目的で権利を行使するのは,実質的政策的配慮から権利の濫用として違法とされ,権利行使としての法律上の効果を生じないものとされる。権利の行使を,ただ権利だけからというだけで無制限に認めると,個別具体的な事情のいかんによっては,必ずしも妥当な結果をもたらさないことがある。

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大辞林 第三版の解説

けんりらんよう【権利濫用】

形式的には権利行使の外形を有するが、それが他者との関係において社会観念上妥当とされる範囲を超えて、不正な目的あるいは恣意的理由により行われること。権利の濫用。

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世界大百科事典内の権利濫用の言及

【所有権】より

…また,土地所有権について207条で〈土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ〉と規定した。 所有権絶対の原則は,フランスの民法学が19世紀半ば権利濫用の法理を確立してから修正を受けるようになる。そして隣国ドイツでも,19世紀後半には社会的所有権の思想が現れて修正されるようになる。…

※「権利濫用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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