全ドイツ連盟(読み)ぜんどいつれんめい(その他表記)Alldeutscher Verband

日本大百科全書(ニッポニカ) 「全ドイツ連盟」の意味・わかりやすい解説

全ドイツ連盟
ぜんどいつれんめい
Alldeutscher Verband

ドイツの急進的国粋主義団体。1890年英独間の植民地交換協定に抗議して結成され、94年以降この名称となった。人種論的汎(はん)ゲルマン主義を唱え、国内の民主的改革に反対しつつ、アフリカでの植民地帝国の建設、中欧でのドイツの覇権確立要求した。大衆組織ではなかったが、教師層や言論界に支持者をもち、工業界や軍部などともつながり、世論形成に大きな役割を演じた。対外強硬策を主張して政府をしばしば攻撃したことで知られ、その主張や反ユダヤ主義は他の右翼団体、国粋主義団体にも影響を与えている。第一次世界大戦中は大併合計画を掲げて主戦派の先頭にたち、ワイマール共和国下でも反共和勢力の一翼を担った。1939年解散。

[木村靖二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「全ドイツ連盟」の意味・わかりやすい解説

全ドイツ連盟
ぜんドイツれんめい
Alldeutscher Verband

汎ゲルマン主義を代表するドイツの右翼団体。ビスマルク失脚後の「新航路」における対英妥協に反対して 1894年結成。軍人,政治家,実業家などの有力メンバーをもち,かつてビスマルクを支持した国民自由党右派と密接になった。ドイツ人の国家意識を鼓舞,帝国主義的対外政策を要求,排外主義的で,政府の「軟弱」外交を攻撃。第1次世界大戦中は膨張的併合政策を唱えた。大戦後解散したが,その主張は右翼政党が継承ナチスに結実した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「全ドイツ連盟」の解説

全ドイツ連盟(ぜんドイツれんめい)
Alldeutscher Verband

ドイツのパン・ゲルマン主義的,排外主義的な民間団体(1891~1939年)。積極的な植民政策,艦隊政策を主張し,政府の外交政策を軟弱として批判,第一次世界大戦では膨大な併合政策を主張した。ヴァイマル共和国では右翼団体として暗躍した。

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世界大百科事典(旧版)内の全ドイツ連盟の言及

【パン・ゲルマン主義】より

…これは二つの系列として現れ,一つは,ハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリー二重帝国)下でドイツ系住民を基盤とするシェーネラーGeorg von Schönerer(1842‐1921)を指導者とする運動で,スラブ系諸民族の台頭やユダヤ人の進出に反対しドイツ民族の優位を説いて,帝国の解体とドイツとの合体を掲げるもので,青年期のヒトラーに影響を与えたことで知られる。もう一つは,1890年ごろドイツに現れ,94年に形を整えた全ドイツ連盟Alldeutscher Verbandをその中心的担い手とする運動である。狭義には,パン・ゲルマン主義はこの系列を指すことが多い。…

※「全ドイツ連盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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