八幡宮神社(読み)はちまんぐうじんじや

日本歴史地名大系 「八幡宮神社」の解説

八幡宮神社
はちまんぐうじんじや

[現在地名]厳原町中村 清水山

清水しみず山の東麓に鎮座府内ふない八幡宮と称され、上県郡三根みね木坂きさか(現峰町)の八幡宮(現海神神社)上津かみつ八幡宮または八幡本宮とよぶのに対して下津八幡宮あるいは八幡新宮とも称されるなど、対馬島主の特別の崇敬を受けた。祭神は神功皇后・応神天皇・仲哀天皇・姫大神・武内宿禰。旧県社。鎮座地は神功皇后が三韓へ出兵した際の遺跡と伝え、創建について、総宮司職の藤家による対馬主神職要録(元禄初期成立、藤家文書)によれば、天武天皇六年(六七七)木坂の伊豆山いずやま八幡宮の神霊を勧請して与良よらの清水山に祀ったという。八幡宮の神号は対馬に始まるとも記すが、「延喜式」神名帳には対馬の両八幡宮は記されない。文明八年(一四七六)銘棟札にも当社が山城石清水いわしみず八幡宮の原廟で万世鎮国の霊神と記しているという(貞享三年神社誌)

〔中世―下津八幡宮〕

当社蔵の永暦元年(一一六〇)三月日の対馬国下津八幡宮所司解案に「八幡宮師等」とあり、宮司らが灯油料畠について国裁を申請している。これを最古とする古文書数十通があり、文治五年(一一八九)八幡宮主神司掾官に藤原秋依が補任され(同年四月二日「留守所下文写」八幡宮文書、以下断りのない限り同文書)、建久元年(一一九〇)「八幡宮大宮大宮司職」に譜代の旨にまかせ掾藤原秋依が補任された(同年七月六日下津八幡宮政所下文案)。文永四年(一二六七)二月二〇日の講師某注進状写に下郡の筆頭に八幡新宮が記される。同一一年一〇月「対馬国府八幡宮」「国府鎮守八幡廟宮」の仮殿が炎上、これが前兆であるかのようにその夕刻に蒙古賊船が襲来したという(「日蓮聖人註画讃」・永禄九年「元祖蓮公薩垂略伝」)

南北朝期、宗宗香は「しもつ八はん」の一日「さへい」の神事について、先例にまかせて、役供物人を大掾の使いに渡すことを「さすのこほり」「いなのこほり」「さこのこほり」「つゝのこほり」「みねのこほり」の沙汰人中に命じた(年未詳一二月一一日「宗宗香書下写」宗家判物写)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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