八難(読み)ハチナン

デジタル大辞泉 「八難」の意味・読み・例文・類語

はち‐なん【八難】

仏語。仏を見ず、法を聞くのに妨げとなる八つの境界地獄餓鬼畜生・長寿天・辺地盲聾瘖瘂もうろういんあ世智弁聡せちべんそう・仏前仏後。
八つの災難。すなわち、飢・渇・寒・暑・水・火・刀・兵の難。
八つの欠点。転じて、多くの欠点。七難

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精選版 日本国語大辞典 「八難」の意味・読み・例文・類語

はち‐なん【八難】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。仏道修行の妨げとなる八つの障難。すなわち、地獄・畜生・餓鬼の三悪道と、長寿天・辺地(へんじ)・盲聾瘖瘂(もうろういんあ)世智弁聰(せちべんそう)・仏前仏後の称。三途八難。
    1. [初出の実例]「欲識搥鐘報五更、三塗八難一時驚」(出典:菅家後集(903頃)聴寺鐘)
    2. 「八難におちしもをがむ時には心に念じ口にとなへて」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    3. [その他の文献]〔維摩経玄疏‐三〕
  3. 八つの災難。すなわち、飢・渇・寒・暑・水・火・刀・兵の難儀。転じて、多くの苦難
    1. [初出の実例]「八難木(はちナンノキ)算ノ目録」(出典:いろは字(1559))
  4. 八つの欠点。転じて、多くの非難すべき点。
    1. [初出の実例]「陰言に我八難(ナン)は棚へ揚げ、人の七難言ひ触らすが総て浮世のならひ」(出典:人情本いろは文庫(1836‐72)二四)
    2. [その他の文献]〔漢書‐高祖紀〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八難」の意味・わかりやすい解説

八難
はちなん

仏教の究極的目的である悟りを得るのに妨げとなる8種の困難のこと。仏陀に会って教えを聞く機会のない (1) 地獄,(2) 餓鬼,(3) 畜生の3種の生存状態快楽にふけるのみである (4) 長寿天,(5) 辺地の2種の生存の状態,(6) 盲聾唖であること,(7) よこしまな見解をもつこと,(8) 仏陀が世に現れていないときの8種をさす。

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