ジャワのワヤン(影絵芝居)が南タイに入ったもので,彩色した黄牛の革製の像を操り白布に投影する大衆娯楽。大きな革(ナン)を用いる大革(ナン・ヤイ)と普通のタルン革(ナン・タルン)の別がある。タルンの語源には4説あるが定かではない。白布は3.5m四方で,その後方0.3mにバナナの木の幹を横たえ,その幹に革に結わえた竹を挿し,その後方からあかりを照射する。皮を操り弁士を兼ねるのは座頭の仕事である。楽隊は太鼓3種,銅鑼(どら),シンバル,笛からなる。開演までには種々の儀式がある。中部では《ラーマキエン》のみを演じ,葬儀の際,喪主が一座を呼ぶ。南部では今はおもに新作の滑稽話を慶弔を問わず演じる。演技で最も要求されるのはユーモラスな表現である。なお,映画が初めて日本から入ったとき日本革(ナン・ジープン)と称されたが,現在口語で単にナンといえば映画をさす。
執筆者:冨田 竹二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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