六境(読み)ロッキョウ

デジタル大辞泉 「六境」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐きょう〔ロクキヤウ〕【六境】

仏語六識対象としての六つ境界。色境・声境・香境・味境・触境法境六塵ろくじん

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精選版 日本国語大辞典 「六境」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐きょうロクキャウ【六境】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。六識(ろくしき)すなわち、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根認識する六つの対象のこと。色境(色や形)・声境(しょうきょう)言語音声)・香境(香り)・味境(味)・触境(そっきょう)(堅さ・しめりけ・あたたかさなど)・法境(意識の対象となる一切のもの、また、上の五境以外の思想など)をいう。六塵(ろくじん)
    1. [初出の実例]「鳥窠の言に、『薪火相交、識性不止』と者、薪は六境に似たり。火は六根の如し」(出典:梵舜本沙石集(1283)五本)

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改訂新版 世界大百科事典 「六境」の意味・わかりやすい解説

六境 (ろっきょう)

仏教では,認識作用の対象(対境)を〈境(きよう)〉という。認識する感覚器官とその働きを合わせて〈根(こん)〉といい,眼(げん)(見る),耳(に)(聞く),鼻(び)(嗅ぐ),舌(ぜつ)(味わう),身(しん)(触れる)の五根にはそれぞれ対応する対象があり,それらを順次に色境(しききよう)(いろ・かたち),声境(しようきよう)(声や音),香境(こうきよう)(香りや臭気),味境(みきよう)(甘・辛などの味),触境(しよくきよう)(触覚による冷・暖,堅・軟など)の五境とする。これら五根・五境のほか,意根の対象として法境(ほうきよう)を立て,合して六根・六境とする。法境は広くは前の五境をふくむが,狭くは五境以外の残りのすべて,とくに思想的なものを意味している。六境は六根とつねに対応関係にあり,六根が主観的であるので六内処といわれるのに対して,客観的であるので六外処(ろくげしよ)ともいわれ,また煩悩によって執着される対象となるので六塵(ろくじん)とも呼ばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六境」の意味・わかりやすい解説

六境
ろっきょう

仏教用語。人間感覚や認識 (→六識 ) のよりどころとなってそれを成立させる感官能力である眼,耳,鼻,舌,身,意 (→六根 ) に対応するそれらの対象の領域,すなわち色,声,香,味,触,法などをいう。法を除けば五境 (五行) という。

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世界大百科事典(旧版)内の六境の言及

【ダルマ】より

…六内処とは,眼(げん),耳(に),鼻(び),舌(ぜつ),身(しん),意(い),つまり,視覚器官,聴覚器官,嗅覚器官,味覚器官,触覚器官という5種の外的器官と,それらと密接に結びつきながら,意識をもたらす内的器官(意)の作用のことで,六根ともいわれる。六外処とは,色,声(しよう),香,味,触(そく),法(意の対象となる概念),つまり,知覚の対象のことで,六境ともいわれ,外界全体をおおうことになる。十八界とは,この十二処(六根六境)に,六識を加えたものである。…

※「六境」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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