中国の書名。宋代の四大編纂書の一つ。1000巻,目録10巻。王欽若,楊億らの奉勅撰。1005年(景徳2)から13年(大中祥符6)にかけて完成された。当時見られた数多くの書物を調査し,歴代の皇帝や官僚たちの政治に関係する事跡を選び出して,部門や項目に従って分類配列した。全体で31部1115門に分けられ,各部門は時代の古いものから採録されており,太古の時代から五代の末までの記事を含んでいる。とくに唐と五代に関係する記事は,きわめて重要な研究資料で,この書でしか見られない資料も数多い。宋時代に出版されたいわゆる宋刊本の現存するものは,各地に分散するものを合わせて553巻。これ以外は明代の鈔本と刊本で補足しなければならない。明刊本は台湾で影印再版されて入手しやすい。また31部のうち奉使部と外臣部とに索引(東方文化研究所,1938)がつくられている。
執筆者:衣川 強
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中国の書名。王欽若(おうきんじゃく)、楊億(ようおく)らが北宋(ほくそう)の真宗の勅を奉じて1005年編集に着手、13年に完成した。1000巻。皇帝の政治に資すために、古代から五代までの歴代の君臣の政治に関する事績を、帝王部から外臣部まで31部1115門に分類して列記。当時現存した各種の書冊のなかから政治の要項を広く集めて編集、『冊府元亀』と名づけられた。このような形式を類書とよび、『文苑英華(ぶんえんえいか)』『太平御覧(たいへいぎょらん)』などとともに、北宋期につくられた代表的類書である。とくに唐・五代に関する部分は、亡失して現在伝わっていない史料を含み、史料的価値が大きい。
[柳田節子]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宋代の類書(分類事典)。王欽若(おうきんじゃく)らが勅により1013年完成。歴代君臣の事跡を31部1115門に分類し,政治の参考にしようとしたもの。今日唐,五代の史料として重視される。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
… 中国では3世紀に魏の文帝の命で繆襲(びゆうしゆう)らが《皇覧》(120巻,《隋書》経籍志による)を編纂したのをはじめとして,いわゆる〈類書〉が編纂されるようになった。著名なものとしては宋の李昉(りぼう)らが勅命で編纂した《太平御覧(たいへいぎよらん)》や王欽若(おうきんじやく)が編集した《冊府元亀(さつぷげんき)》,明の王圻(おうき)が親子2代で撰した《三才図会(さんさいずえ)》がある。いずれも天文・地理から始めて草本に終わる分類百科全書であって,日本でも江戸時代に寺島良安によって《和漢三才図会》(1712)ができている。…
※「冊府元亀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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