再犯防止推進法(読み)サイハンボウシスイシンホウ

デジタル大辞泉 「再犯防止推進法」の意味・読み・例文・類語

さいはんぼうしすいしん‐ほう〔サイハンバウシスイシンハフ〕【再犯防止推進法】

《「再犯防止等の推進に関する法律」の略称犯罪非行をした者等が再び犯罪や非行をすることを防止するための施策基本となる事項について定めた法律。平成28年(2016)成立

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「再犯防止推進法」の意味・わかりやすい解説

再犯防止推進法
さいはんぼうしすいしんほう

犯罪や非行をした人の再犯防止を国と地方自治体責務と明記した法律。正式名称は「再犯の防止等の推進に関する法律」(平成28年法律第104号)。議員立法で2016年(平成28)12月14日に公布、施行された。仕事や住居がないため社会復帰がむずかしい、刑務所少年院を出た人への支援策を充実させ、再犯を防止するねらいがある。政府に対し、(1)出所者らの職業や住居の確保、(2)刑務所などでの教育や職業訓練の充実、(3)薬物依存症の人への適切な保健医療や福祉サービスの支援、(4)保護観察体制の整備、などの施策を盛り込んだ「再犯防止推進計画」の作成(閣議決定)を義務づけた。政府は毎年、各施策について国会に報告しなければならない。また少なくとも5年をめどに推進計画を検討・変更する必要がある。更生保護施設の支援拡充のほか、出所者らを積極的に雇う「協力雇用主」に対して公共事業などの受注機会の増大を図ったり、出所者が公営住宅に入居しやすくしたりするよう配慮することも、基本的施策に明記した。地方自治体に対しては国の計画に沿って、「地方再犯防止推進計画」を定めることを努力義務とした。このほか国、自治体、民間団体の緊密な連携のほか、国民の理解と関心を深めるため毎年7月を「再犯防止啓発月間」とすることも定められた。法務省によると、2015年に摘発された人のうち再犯者の比率(再犯者率)は48%に達し過去最高となっている。2014年の出所者で2年以内に再入所した人の割合は18.5%にのぼる。政府は2021年までにこの再入所割合を16%以下に抑える数値目標を掲げている。

[矢野 武 2017年6月20日]

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