日本大百科全書(ニッポニカ) 「冷水塔」の意味・わかりやすい解説
冷水塔
れいすいとう
cooling tower
発電所や化学工場では、大量の冷却水が使用されている。常温より5~10℃温度が上昇しただけの工業用水をそのまま排出してしまうことは不経済であり、省物資の立場からも循環再使用される。この排水の冷却には、特別の場合を除いて自己蒸発以外の方法は適用できず、このような冷却装置を広く冷水塔とよんでいる。
[河村祐治]
発電所や化学工場では、大量の冷却水が使用されている。常温より5~10℃温度が上昇しただけの工業用水をそのまま排出してしまうことは不経済であり、省物資の立場からも循環再使用される。この排水の冷却には、特別の場合を除いて自己蒸発以外の方法は適用できず、このような冷却装置を広く冷水塔とよんでいる。
[河村祐治]
工場やビルなどで使用される用水を循環再使用するための冷却装置。クーリングタワー,冷却塔ともいわれる。鉄鋼,金属,化学工業などのプロセス工業においては種々の工程で大量の冷却水を使用している。また,ビルにおける冷房用にも冷却水が必要である。これらの冷却水を使い捨てにすることは水資源の保全およびコスト面からも好ましくないので,一般には循環再使用される。冷却法は,温水を空気に触れさせて一部を蒸発させ,蒸発潜熱を利用する。装置は空気の流通抵抗の小さい波板,格子組板などの充てん(塡)物を内部に保有し,これを用いて水と空気を向流または十字流に接触させる。自然通風式と強制通風式とがあるが,強制通風式のほうが冷水効果が大きく装置をコンパクトにできるので,最近ではこの方式が広く用いられている。ただし,大量の空気を通すので動力の低減に努める必要がある。
冷水塔においては大量の水蒸気を蒸発させるので,それが大気中で凝縮し白煙を生ずることがある。局地的な霧や露の原因となるので,その防止が必要である。排気を温かい空気と混合することが有効であるので,空気を温水と熱交換させて温め,排気に混ぜるような設備がよく用いられる。また,強制通風の際の騒音が公害源とされることがあるので,吸音装置や防音壁を付けることも必要である。
執筆者:古崎 新太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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