出口調査(読み)デグチチョウサ(英語表記)Exit Poll

デジタル大辞泉 「出口調査」の意味・読み・例文・類語

でぐち‐ちょうさ〔‐テウサ〕【出口調査】

公職選挙の当日、投票所出口で調査員が投票を終えた人にどの候補者に、またはどの政党に投票したかを聞く調査。新聞社テレビ局が行い、開票直後に当選予想を出す資料にする。

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精選版 日本国語大辞典 「出口調査」の意味・読み・例文・類語

でぐち‐ちょうさ‥テウサ【出口調査】

  1. 〘 名詞 〙 国政選挙地方選挙で、選挙人が誰に投票したかを投票所の出口で調査すること。放送局などが開票に先立って当落を予想するために行なう。

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知恵蔵 「出口調査」の解説

出口調査

報道機関が、各選挙区の投票所にアンケートを持った調査員を配置し、投票を終えた有権者から「誰に投票したか」を聞きだすもの。
出口調査の目的は2つ。調査データと世論調査などの取材結果を総合し、各政党の議席数を予測、政界の新しい勢力図を想定して報道すること。そして、無党派層の投票先や、争点と投票行動の関係、政党や候補者の勝因・敗因など、「選挙そのもの」を分析すること。
最古の本格的な選挙出口調査は、1967年アメリカ・ニューヨークで、ウォレン・ミトフスキー氏によって行われた。日本での本格的な出口調査は92年7月の参議院選挙。TBSNHK、日本テレビ、フジテレビなどが調査した。
出口調査は「投票区」と「投票者」の2段階抽出によって調査対象を選ぶ。
投票区の抽出は、中立的な調査結果を得るため、予想投票者が少ない投票区や立候補者本人や親族の自宅がある投票区などをのぞいた状態で、全国の市町村選挙管理委員会の投票区別登録有権者数リストを基に行う。調査対象投票者は、ある特定の人数間隔で無作為に選ばれるが、その数は調査投票区の人口密度で決まる。
例えばある報道機関では、以下のような方法がとられる。当日の調査は午前8時から午後6時まで。1人の調査員が1つの投票所を担当する。投票所の出入り口付近で待機し、A4サイズの調査票に地点番号、対象者番号を記入しておく。調査票には、基本質問の「性別」「年齢」「投票先」「支持する政党」の他に、「前回選挙の投票先」「重視する政策」「取り組むべき課題」「現職の評価」などの追加質問がある。
調査員は、出口から出てくる投票者の数を数え、あらかじめ決められた人数間隔で投票者に協力を依頼。調査票に回答者の「性別」と「年齢(10歳きざみ)」「投票時刻」などを記入。その後、協力者に回答を書き込んでもらい、封筒に入れて回収。その回答は、調査員の携帯電話で報道機関にメール送信され、選挙結果予測の重要なデータとなる。
調査結果の精度を高めるために、回答を拒否する有権者や、2007年の参院選で1千万人を超えた期日前投票者の存在などの誤差を大きくする要因をどう解決するかが今後の課題である。

(島村由花 コラムニスト / 2009年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出口調査」の意味・わかりやすい解説

出口調査
でぐちちょうさ

選挙の際、投票所の出口で有権者から投票の態度をきき、候補者の当落、得票率などを判断するための調査。新聞、テレビなどの報道機関が速報あるいはその参考のために実施することがあり、アメリカの選挙では当落判定の重要データになっている。日本では、1996年10月の衆院総選挙や98年7月の参院選で、十数万人規模の出口調査結果を報道するところもでたが、当落判定に全面的に用いるところまでにはいたっていない。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「出口調査」の意味・わかりやすい解説

出口調査【でぐちちょうさ】

選挙において,報道機関などが投票結果をいち早く予測するために,投票所の出口で投票を終えた人を対象に直接行う聞き取り調査のこと。この方法は欧米で広く行われているもので,日本でもNHKが選挙報道にあたって補助的に行っていたが,1992年の参議院選挙から民放テレビ局が本格的に導入して一般化した。ただしこの方法は統計学上は十分に確立されたものとはいえず,各機関も世論調査などと併用している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出口調査」の意味・わかりやすい解説

出口調査
でぐちちょうさ
exit poll

報道機関が選挙報道で当落予想の信頼性を高めるために,投票場の出口で有権者に投票結果を聞き集計する方法。日本では 1992年の参議院議員選挙の頃からおもなテレビ局が本格的に導入を始め,回数を重ねるにつれ精度を向上させてきた。アメリカでは長らく一般的な手法であったが,2000年の大統領選挙で予想がはずれ,調査と報道のあり方を見直すきっかけとなった。

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