切子灯籠(読み)キリコドウロウ

デジタル大辞泉 「切子灯籠」の意味・読み・例文・類語

きりこ‐どうろう【切(り)子灯籠】

枠を切り子1の形に組んで、四方の角に造花や紙・はくなどを細長く切ったものを飾りつけた灯籠盂蘭盆会うらぼんえなどに用いる。 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「切子灯籠」の意味・読み・例文・類語

きりこ‐どうろう【切子灯籠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きりこどうろ」とも ) わくを切子の形に組み、紙または帛の垂(しで)を飾り垂らした灯籠。花をつけたり、彩色などをして飾ったものもある。盂蘭盆会(うらぼんえ)などに用いる。盆灯籠。きりこのとうろう。きりこ。きりこあんど。《 季語・秋 》
    1. 切子灯籠〈大和の大寄〉
      切子灯籠〈大和の大寄〉
    2. [初出の実例]「御灯呂之事当年者可御免候。乍去御闕如候はは、きりこ燈呂にても可申付候」(出典実隆公記‐明応八年(1599)六月紙背(勧学院偆賢書状))
    3. [その他の文献]〔俳諧・増山の井(1663)〕
    4. 「夕部(ゆうべ)の空もはやくれて、のきば、のきばにとぼす火はきりこどうろう」(出典:浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)下)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「切子灯籠」の意味・わかりやすい解説

切子灯籠
きりこどうろう

盆灯籠の一種で、灯袋(ひぶくろ)が立方体の各角を切り落とした形の吊(つ)り灯籠。灯袋の枠に白紙を張り、底の四辺から透(すかし)模様や六字名号(ろくじみょうごう)(南無阿弥陀仏)などを入れた幅広の幡(はた)を下げたもの。灯袋の四方の角にボタンやレンゲの造花をつけ、細長い白紙を数枚ずつ下げることもある。点灯には、中に油皿を置いて種油を注ぎ、灯心を立てた。お盆に灯籠を点ずることは『明月記(めいげつき)』(鎌倉時代初期)などにあり、『円光(えんこう)大師絵伝』には切子灯籠と同形のものがみえている。江戸時代には『和漢三才図会』(1713)に切子灯籠があり、庶民の間でも一般化していたことがわかるが、その後しだいに盆提灯に変わっていった。ただし現在でも、各地の寺院や天竜川流域などの盆踊り念仏踊りには切子灯籠が用いられ、香川県にはこれをつくる人がいる。

[小川直之]


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