切捨御免(読み)きりすてごめん

世界大百科事典 第2版の解説

きりすてごめん【切捨御免】

江戸時代,武士の有した身分的特権の一つ。無礼におよんだ庶民を切害すること,すなわち無礼討の許容である。諸藩でも認められたが,幕府は《公事方御定書》の殺人・傷害の条項中に先例を成文化し,町人・百姓が法外の雑言など不届きな行為に出た場合,やむをえずこれを切り殺した武士は,たとえ足軽などの軽輩であれ,刑事責任なきものとした。事情分明でなければならず,したがって目撃者の存在は欠かせなかった。これらの要件を満たし,身元定かな加害者には,正式な裁判も行われない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

切捨御免
きりすてごめん

江戸時代、武士の特権を意味した語。打捨(うちすて)、討捨、伐捨(きりすて)ともいう。当時、武士の特権は刀に象徴されたが、農民・町人が武士に非礼をした場合、切り捨ててもよかった。しかし、無制限の切捨が許されたわけではなく、事後に取調べがあり、武士に正当な理由がないと認められた場合は処罰された。その意味で、このことばは武士の特権を象徴的に表したものである。[藤野 保]

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精選版 日本国語大辞典の解説

きりすて‐ごめん【切捨御免】

〘名〙 江戸時代、武士に与えられていた特権の一つ。町人、農民などが武士に対し雑言(ぞうごん)など無礼を働いた場合、武士が止むを得ず切り殺しても処罰されなかった。この特権は足軽にも認められていたが、みだりに切り殺したときや、無礼の証拠の説明ができないときは処罰された。無礼討(ぶれいうち)。きりすて。
※開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初「又武士には切捨御免(キリステゴメン)(など)といふ法がありて」

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