刺創とは、汚染された包丁やナイフなど先端の鋭利な刃物や、アイスピック、
刺創は、刺入部の大きさに比べて奥行きが深く、深部の血管、神経、
四肢では、神経や腱の切断・損傷があると、受傷部より先の運動・知覚の麻痺が生じます。血管の
とくに感染症では、生命に関わるガス壊疽(えそ)や
必ず医療機関を受診します。救急隊を要請し、救急処置、搬送をしてもらいます。救急隊を待つ間、損傷の範囲を拡大させないことが重要で、傷病者の安静を保つことに主眼をおきます。器物が刺さったままであれば、引き抜かないことを原則とします。器物と破綻した血管が接解し、止血していたものが再出血する可能性があるからです。
救急隊の到着に時間がかかる場合、刺入部の周囲にタオルや布を巻きつけ、その上からガムテープなどを用いて皮膚に接着・固定させます。器物が抜けてしまった場合で出血があれば、前に解説した「
出血がなければ、食品包装用のラップを刺創に密着させ、おおってもよいでしょう。胸部ではラップを四角に切り、下側の辺以外の3辺をテープで固定します。腹部では、両膝を曲げて立て、腹筋の緊張をゆるめるようにしておおいます。また、腸管が体外に脱出した場合は、乾燥させないように家庭にあるシャワーキャップでおおうのもひとつの方法です。
さまざまな検査で、刺創の損傷範囲を把握します。四肢では、運動・知覚麻痺の有無、関節の可動域の制限や持続する出血を指標に修復を行います。
胸部では、単位時間あたりの出血量や、呼吸数・血圧・脈拍数・体温(この4項目を生命徴候という)が安定しなければ緊急手術となります。
腹部では、腹腔中から腸などの臓器や組織の脱出があったり、生命徴候が不安定であれば緊急手術が必要です。
刺創は、汚染された器物が体内に刺入しているため感染は避けられません。創腔が十分に洗浄できない場合、前述の感染症の発症に注意し、対策を講じます。
松田 剛明
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
とげ、針、刀、槍(やり)、鉄材、竹材など大小の先端のとがった物体が刺さって生ずる創傷(そうしょう)である。傷口は小さいが深いのが特徴で、深部臓器損傷や細菌感染をおこしやすい。太く深い刺入物は抜くと急速に出血をきたすことがあるので、処置ができるまで抜去しないほうがよい。眼窩(がんか)、鼻腔(びくう)からの脳損傷や肺、気道損傷による気胸、血胸、呼吸不全は重篤であり、心臓損傷はしばしば致命的である。消化管損傷は腹膜炎を、肝、脾(ひ)、腎(じん)などの実質性臓器や大血管損傷では出血により生命の危険をきたす。四肢や浅い創(きず)では生命の危険は少ないが、破傷風やガス壊疽(えそ)の感染をおこしやすいため異物の除去、創の開放、洗浄、抗生物質の投与、破傷風の予防が必要である。
[荒木京二郎]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これらのうちで最も多く経験されるのは機械的な外力による損傷(機械的損傷)であり,この機械的損傷が外傷traumaや創傷wound,あるいは〈きず〉〈けが〉にほぼ相当する。外傷も創傷も,損傷の開放性,非開放性のいかんを問わず用いられるが,創傷の場合,〈創〉の1字だけだと開放性機械的損傷(たとえば切創,刺創,射創など)を,〈傷〉の1字だけだと非開放性機械的損傷(たとえば打撲傷など)を意味する。もちろん,この二つは必ずしも明確に区別されているわけではない。…
※「刺創」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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