出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
発生段階で、原口が成体の口となる動物の総称。旧口動物、原口動物または先口動物ともいい、後口動物(新口動物)の対語。単細胞の原生動物、多細胞で組織分化のない中生動物、二胚葉(はいよう)性の海綿、腔腸(こうちょう)、有櫛(ゆうしつ)動物を除いて、三胚葉性の動物群は発生上の特徴から前口動物と後口動物に大別される。両動物とも、発生の初期段階で生じる原腸胚は原口、原腸および胚葉の部分からできている。前口動物では、発生が進むと原口が成体の口に発達し、原腸の末端近くに相当する部域に成体の肛門(こうもん)が形成される。三胚葉性の動物群には、成体では体のつくりが左右相称であること、体壁と諸内臓の間に体腔とよばれる空所ができることなどの共通した特色がみられる。扁形(へんけい)、紐形(ひもがた)、袋形(たいけい)、軟体、環形、節足、触手動物などは前口動物であるが、毛顎(もうがく)、有鬚(ゆうしゅ)、棘皮(きょくひ)、原索、脊椎(せきつい)動物は後口動物にまとめられる。
[片島 亮]
…消化管がUターンして触手冠の内側に開く曲形動物(内肛動物),外側に開く箒虫動物や星口動物など,背面中央に開く棘皮(きよくひ)動物のウニ,ヒトデ類などが代表的存在である。肛門のでき方を発生学的に見ると,原口がそのまま口になり,後から肛門を生ずる場合(前口動物――扁形・ひも形・曲形(内肛)・線形・軟体・環形・節足・星口・箒虫動物門など)と,原口がそのまま肛門になるか,あるいはその付近に肛門が形成され,口も新たに作られる場合(後口動物――半索・棘皮・原索動物門)がある。脊椎動物の肛門のでき方は後者である。…
…また原生動物の中で葉緑素などの色素体をもち,植物的な栄養摂取を行っている植物性鞭毛虫は,植物と動物との両方の特徴を兼ね備えている。 多細胞動物で原生動物,中生動物,海綿動物(カイメン),腔腸動物,有櫛(ゆうしつ)動物の各動物門を除いたすべての動物門は発生における特徴と幼生の形態から前口動物Protostomiaと後口動物Deuterostomiaとに2大別される。前口動物とは卵の発生過程で原口が幼生の口になり,後に肛門ができる動物群であり,後口動物は原口が肛門になり,後に口ができる動物群である。…
※「前口動物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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