翻訳|archenteron
多くの多細胞動物の発生過程で,胚葉が分化する際に出現する過渡的な構造。胞胚後部を形成する細胞の一部が,胞胚腔内に袋状あるいは塊状にくびれ込んでできる。この細胞群はやがて,動物によって,内胚葉のみに分化して消化管を形成する場合と,中胚葉へも分化して消化管のほかに間充織細胞,体節,脊索などを形成する場合がある。その形は,無脊椎動物においては比較的単純な椀状または先の閉じた筒状であるが,両生類以下の脊椎動物では背腹にいちじるしい差を生じ,背側に隣接する外胚葉に神経組織を誘導する。原腸が入り込んでできた腔所の開口部は原口blastoporeと呼ばれ,旧口動物(ミミズ,貝類など)ではそのまま成体の口を形成するが,新口動物(ウニ,脊椎動物など)では幼生または成体の肛門となる。節足動物および脊椎動物の一部(爬虫類,鳥類,哺乳類)では原腸は作られない。
執筆者:団 まりな
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[胚葉分化]
胞胚が完成するとまもなく,囊胚形成gastrulationとよばれる激しい形態形成運動によって細胞の配置がえが行われ,胚には内,中,外の三つの胚葉が分化する。胚葉分化の過程は,まず原腸の形成を通して,内・外両胚葉をつくることから始まる。原腸の形成には二つのおもな方法がある。…
※「原腸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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