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扁形動物 へんけいどうぶつPlatyhelminthes; flatworm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

扁形動物
へんけいどうぶつ
Platyhelminthes; flatworm

扁形動物門に属する動物の総称。体は左右相称,背腹に扁平で,体節制をもたない。呼吸器系,循環器系ももたず,骨格,体腔もない。中枢神経はあり,脳から数条の縦走神経が後方に走っている。一般に雌雄同体で,生殖器官はよく発達している。海水,淡水,陸生と分布は広く,自由生活をするもののほか寄生性のものも多い。渦虫類吸虫類条虫類に大別され,世界で約1万 3000種が知られている。

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百科事典マイペディアの解説

扁形動物【へんけいどうぶつ】

無脊椎動物の一門。自由生活を行う渦虫類(プラナリアなど),寄生生活をする吸虫類(住血吸虫,カンテツなど),条虫類(広節裂頭条虫など)の3綱に分けられる。体は左右相称で背腹に扁平,条虫類を除いて普通,節をもたない。

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世界大百科事典 第2版の解説

へんけいどうぶつ【扁形動物 Platyhelminthes】

無脊椎動物の1動物門。放射相称形の動物(腔腸動物,有櫛(ゆうしつ)動物)から左右相称動物へ進化していった動物のうちもっとも原始的な形態をもつ動物群。自由生活するナミウズムシ(プラナリアの1種),寄生性のジュウケツキュウチュウ(住血吸虫),カンテツ(肝蛭),カギサナダなど約1万7000種ほどが知られており,寄生性の種類で人間や家畜に種々の病気を起こさせるものも多い。 扁形動物は渦虫綱吸虫綱,単生綱,条虫綱の4綱に分けられるが,ウズムシ類が原始的で基本的な体制をもち,それらのうちのあるものが寄生生活にしだいに適応してキュウチュウ類を生じ,さらに寄生生活に適応性が進んだのがジョウチュウ類と考えられている。

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大辞林 第三版の解説

へんけいどうぶつ【扁形動物】

動物界の一門。最も下等な後生動物で、渦虫綱・吸虫綱・条虫綱の三綱からなる。寄生性のものが多い。体は細長いか楕円状、左右相称で扁平。口は腹面にあり、肛門はないものが多い。排出器官は原腎管。大部分は雌雄同体。扁虫類。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

扁形動物
へんけいどうぶつ

動物分類学上一門Platyhelminthesを構成する動物群。体は左右相称で背腹に平たく、長円形ないし細長い。体表は繊毛(自活性のもの)あるいはクチクラ(寄生性のもの)で覆われる。体節に分かれず、体腔(たいこう)はなく、消化器、生殖器、排出器などは柔組織の中に収まっている。循環器、呼吸器、骨格はない。消化器は口、咽頭(いんとう)、腸からなるが、肛門(こうもん)を欠くことが多い。腸は複雑に分岐するものもある。渦虫綱の無腸類は腸を欠くが、柔組織内に食胞があり、これが集まって食物を消化する。条虫綱は消化器をまったく失っているが、体表には脊椎(せきつい)動物の腸絨毛(じゅうもう)のような小突起が密生し、これを通して栄養を吸収する。神経は中枢部をもち、自活性のものでは感覚器などがよく発達するが、寄生性の成虫では欠如する。一般に雌雄同体で、2個体が交接して互いに精子を交換する。生殖器はよく発達し、複雑な構造をもつ。卵細胞を生産する卵巣のほかに、卵黄細胞を生産する卵黄腺(せん)があり、卵は1個の卵細胞と多数の卵黄細胞を入れた複合卵で、後者は卵細胞の発育に必要な栄養物質を供給する。吸虫綱や条虫綱では発育環が複雑で、中間宿主をもち、幼生生殖を営むものもある。扁形動物門は次の4綱に分けられる。
(1)渦虫綱 自活性で、海水、淡水、湿地で生活し、腹面を覆う繊毛を使って這(は)うように移動する。有性生殖のほかに、体が分裂して無性的に増えるものもある。ヒトの生活と直接かかわりをもたないが、「掃除屋」として動物の死骸や腐敗物を食べる。カキやアサリなどを食害する種もある。プラナリア、ナミウズムシ、コウガイビルなど。
(2)単生綱 かつては吸虫綱に含まれていたが、現在は独立した綱に昇格した。魚のえらや体表に寄生するが、両生類の膀胱(ぼうこう)に寄生するものもある。体の構造は吸虫類に似ている。体の前・後端に固着器を備え、とくに後端の固着器はよく発達し、多数の鉤(かぎ)、吸盤、洗濯挟み状の把握器(はあくき)をもつ。発育環には、吸虫類のような中間宿主を必要とせず、世代交代は行わない。このため、養魚場のように過密状態で魚を飼育すると、大発生して病害をもたらすことがある。フタゴムシなど。
(3)吸虫綱 脊椎動物の消化管に寄生するものが多いが、その付属腺(せん)や肝臓、腎臓、血管内に寄生する種もある。分節のない体に固着器として二つの吸盤をもつ。発育環は複雑で、世代交代や宿主転換を行う。肝蛭(かんてつ)、肝吸虫、横川(よこがわ)吸虫、日本住血吸虫など。
(4)条虫綱 脊椎動物の消化管に寄生する。体は片節が連なった分節状で、各片節に雌雄の生殖器を収める。頭端には固着器として吸盤、鉤などをもつ。消化器は退化。発育環は複雑で、幼虫は宿主変換に伴って変態する。日本海裂頭条虫、有鉤(ゆうこう)条虫、無鉤条虫など。[町田昌昭]

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