前適応(読み)ゼンテキオウ(その他表記)preadaptation

関連語 水温 現行 見方

改訂新版 世界大百科事典 「前適応」の意味・わかりやすい解説

前適応 (ぜんてきおう)
preadaptation

生物進化に関する概念の一つ。ある生物の器官行動が,特定の生活または機能に対する適応を進化させてきたとき,それがそれまでとはまったく異なった生活または機能に対してもたまたま適応性をもつことがあり得る。その場合,もしその生物がその異なった生活または機能を採用するように変わる機会があれば,その適応性によってそれまでとは異なる路線の進化を開始することが可能になる。これが前適応の考え方である。この概念は大進化を説明するうえで,ネオテニーと並んで,重要なものであると考えられており,例えば脊椎動物の進化での顎骨や羊膜卵や翼の出現を説明するためにしばしば用いられている。これは,C.ダーウィンが悩んだ問題,すなわち今日の複雑な器官はそのでき始めのときには今のような機能を果たすことができたはずはなかったから自然淘汰にかからなかっただろうという疑問を解決するものであると考えられている。
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最新 地学事典 「前適応」の解説

ぜんてきおう
前適応

preadaptation

ある生物の器官や性質において,それまでは重要でなかったものが,のちになんらかの地質学的な原因などによって環境条件が変化した場合に,適応的な価値を現すこと。生物が環境変化を予見していたのではなく,形態はそのままに機能的にのみ適応変化したことが前適応的に見えるものと解釈されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「前適応」の意味・わかりやすい解説

前適応
ぜんてきおう
preadaptation

生物にとっての環境条件が変化した際,それに適応するような変異があらかじめ生じていたとき,その生物は前適応していたといわれる。フランスの進化学者 L.キュエノーの造語。現行の正統進化理論では,環境に合う有利な突然変異が選び出されて進化が生じるとしているので,進化は,ある見方ではすべて微小な前適応の集積ということにさえなる。たとえばミジンコのなかに,池の水温よりも低い温度に適する変異体がときどき現れるとして,ある原因からその池の水温が低くなれば,この変異体が新しい優勢な群として確立する。

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