副署(読み)フクショ

デジタル大辞泉 「副署」の意味・読み・例文・類語

ふく‐しょ【副署】

[名](スル)明治憲法下で、詔勅などの天皇文書行為について、輔弼ほひつの任にある国務大臣が天皇の署名に添えて署名すること。また、その署名。

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精選版 日本国語大辞典 「副署」の意味・読み・例文・類語

ふく‐しょ【副署】

  1. 〘 名詞 〙 明治憲法下で、天皇を輔弼(ほひつ)する者が、天皇の親署にそえて、自己の名を署名すること。また、その署名。
    1. [初出の実例]「凡て法律勅令其の他国務に関る詔勅は国務大臣の副署を要す」(出典:大日本帝国憲法(明治二二年)(1889)五五条)

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百科事典マイペディア 「副署」の意味・わかりやすい解説

副署【ふくしょ】

君主の署名にそえて署名すること。立憲君主制では君主が政治上の責任を負わないので,君主に代わって責任を負う者を明らかにする必要がある。日本旧憲法では法律・勅令その他国務に関する詔勅に国務大臣が副署した(旧憲法55条)。
→関連項目裁可

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「副署」の意味・わかりやすい解説

副署
ふくしょ

天皇の署名に添えて輔弼 (ほひつ) する者が署名することをいい,大日本帝国憲法は法律,勅令その他国務に関する詔勅について国務大臣の副署を要求していた (55条2項) 。日本国憲法には副署についての定めはないが,慣例上,天皇が文書の形式による国事行為を行う場合には,「助言承認」に対する内閣の責任を明らかにする趣旨から,内閣総理大臣が副署する。 (→連署 )

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世界大百科事典(旧版)内の副署の言及

【署名】より

手形行為【今井 潔】
[公法上の署名]
 (1)法律・政令の署名 法律・政令には主任の国務大臣が署名し,内閣総理大臣が連署することを必要とする(日本国憲法74条)。連署とは,他の者の署名にそえて署名することをいい,副署も同義であるが,明治憲法下では,天皇の親書にそえて国務大臣が署名することをとくに副署と呼んでいた。(2)地方自治法上の直接請求の署名 地方自治法は,条例の制定改廃請求,地方公共団体の事務の監査請求,議会の解散請求,議会の議員・長その他の役員の解職請求からなる4種の直接請求の制度を認めている(地方自治法74~76条,80条,81条,86条)が,これらの直接請求には,一定数以上の選挙権者の署名を必要とする。…

【連署】より

…この場合署名の連続を示せる署名簿でなければ,署名として有効でない。 なお,君主の大権行使に対する大臣助言制の方式として,君主の署名(親署)に添えて大臣が自署することを副署といった(明治憲法55条2項)。日本国憲法には規定はないが,文書による天皇の国事行為には内閣がすべて責任を負うたてまえである〈内閣の助言と承認〉(日本国憲法3条)のあかしとして,天皇の親署と並んで内閣総理大臣が署名(副署)する例となっている。…

※「副署」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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