加工処理された肉製品。国の品質表示基準では、「加工食品」の「食肉製品」に分類され、加工処理されていない「生鮮食品」の「肉類」とは区別される。ハム、ソーセージ、ベーコンなどのほか、生肉に脂肪などを注入した脂肪注入加工肉や、肉片などを結着させて形を整えた成型肉など、外見からは生鮮食品の肉類と区別しにくいものも含まれる。名称、原材料名、保存方法などの表示が、製造業者に義務づけられており、脂肪注入加工肉や成型肉などについても、卸売りや小売りの際には、加工肉、脂肪注入加工肉、成型肉などの表示が必要である。
脂肪注入加工肉は、数百の細かい噴射針で牛の脂肪や食品添加物を注射するインジェクション加工が施されている。飼育方法により霜降り状態とした食肉に似ていることから霜降り加工肉ともよばれる。また、成型肉は、生肉、脂身、横隔膜等に添加物などを加えて結着処理をしてつくられる。このほか、針状の刃によって筋や繊維を切断するテンダライズ処理された肉、調味液を浸透させるタンブリング処理をされた肉などもあり、外見から加工肉であると判断することはむずかしい。この種の加工肉の多くは外食産業向けであるが、一般消費者向けに販売されているものもある。加工処理により表面に付着していた菌が内部に入り込んだり、添加物にアレルゲンが含まれていたりすることもあるため、表示を確認し、十分に加熱してから食べる必要がある。
2013年(平成25)には高級ホテルや旅館、レストランなどの多くの外食店で、脂肪注入加工肉や成型肉を使った料理を「ステーキ」としてメニューに表示するなど、食材に関するさまざまな「誤表示」が多数発覚し、大きな社会問題となった。外食産業では、加工肉の表示に関する規則や義務が設けられていないが、たとえば脂肪注入加工肉を焼いた料理を「霜降りビーフステーキ」としてメニューに掲載すれば、「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和37年法律第134号)4条1項で禁じられている優良誤認表示(商品を実際よりも優良にみせかける表示)にあたり、消費者庁による措置命令を受ける可能性がある。
[編集部]
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