金銀,米大豆などの収支決算を行う会計帳簿の一つ。江戸時代には年貢そのほかの決算帳簿を勘定帳と称した。幕府代官所,大名・遠国奉行預所ごとに毎年作成して勘定所に報告する勘定帳に,地方(じかた)勘定帳と御金蔵(おかねぐら)勘定帳の2種があり,また村請年貢を村内高持百姓に割り付け,その収支を計算する年貢勘定帳,商家の収支についての金銀勘定帳も勘定帳の一種である。地方勘定帳は年貢米金およびこれに付加する小物成・運上冥加・口米金その他の雑税の出納・皆済後決算する帳簿である。御金蔵勘定帳は年貢金銀以外の金銀納払,すなわち幕府金蔵より受け取った金銀を元に立て,宿村に対する貸付金・普請入用・諸手当など渡方を列記し,拝借返納などはすべて金蔵納めとして出納・決算する帳簿である。なお1800年(寛政12)それまで区々であった年賦返納物も漏らさず御金蔵勘定帳に組んで勘定仕上げ(決算)することとした。1759年(宝暦9)より勘定帳下帳の提出がはじまったが,本紙(清書)は厚程村紙・袋綴で小口紙張り,寸法は長1尺4分・横7寸6分・綴目外7分と定められていた。勘定帳の提出期限は翌年10月までで,たとえ事故があっても3ヵ年以内に勘定仕上げをなし,下勘定所帳面方組頭へ提出する。勘定帳下帳に金銀納札帳・前年増減差引書付を添え,帳面方において照合・算入ののち,証文合せ・札合せを済ませて勘定帳本紙を作成・提出する。そこで下勘定所ついで御殿で地方惣勘定が行われる。老中が出席,勘定奉行・吟味役・組頭が侍座し,出頭した代官が総計を読み上げ,勘定が元払差引を行い,勘定奉行・吟味役・組頭連名で代官あての奥書をし,その奥に老中・勝手掛若年寄が奥印,勝手方老中の綴目印調印にて代官に地方勘定帳を下付する。御金蔵勘定帳は預所の地方勘定帳とともに惣勘定の手続がなく,老中奥印もない。なお貞享以前は前年分を中勘定,前々年分を皆済勘定仕上げとしたが,のち中勘定を廃止した。
執筆者:大野 瑞男
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