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包虫症 ほうちゅうしょうechinococcosis

翻訳|echinococcosis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

包虫症
ほうちゅうしょう
echinococcosis

エキノコックス症あるいはエヒノコックス症ともいう。包虫の寄生によって起る条虫症である。エキノコックスとは本来,条虫の幼虫の形態上の呼称であるが,そのまま属名として用いられている。ヒトとの関係が明らかな種類は単包条虫 (以前はい粒条虫と呼ばれた) と多包条虫で,幼虫はそれぞれ単包虫,多包虫と呼ばれる。これらの条虫はイヌやキツネを終宿主とするが,たまたま虫卵を経口摂取するとヒトが中間宿主となり,腸管内で孵化して肝臓や肺に寄生する。症状としては,肝臓の寄生によって上腹部不快感,肝腫大,腹水や黄疸が起る。脳に寄生しててんかんの原因となることもある。治療としては,包虫を外科的に摘出する以外に有効な方法はない。感染源であるイヌなどの糞便の始末に注意し,虫卵で汚染された食物が直接口に入らないよう留意するのがよい。

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栄養・生化学辞典の解説

包虫症

 [Echiococcus]属の条虫の幼虫による感染症で,組織にシスト(嚢子)が形成される.肝包虫症は肝不全で死に至る可能性があり,肺包虫症は胸膜炎,気管支炎を起こす.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

包虫症
ほうちゅうしょう
hydatidosishydatid diseaselarval echinococcosis

エキノコックス属の条虫は日本に単包条虫と多包条虫の2種が分布するが、包虫症はこれらの幼虫(単包虫と多包虫)によっておこる人獣共通感染症である。エキノコックス症ともいい、感染症予防・医療法(感染症法)では4類感染症に分類されている。ヒトは中間宿主であり、人体内で幼虫が成虫になることはない。
 単包虫症は日本で全国的に散発するがまれであり、多包虫症は北海道の全域およびまれに東北地方などにみられる。多包虫のヒトへの感染は、キツネやイヌの糞(ふん)とともに排出された卵を経口摂取することによる。具体的にいえば、卵に汚染されたキツネやイヌの毛皮、飲料水、野生植物の漿果(しょうか)などを介して感染が成立する。小腸内で孵化(ふか)した幼虫は腸壁を通過し、血流やリンパ流によって肝臓に運ばれ、直径1~5ミリメートルの小さい袋の集合体となって増殖し、肝腫大(しゅだい)、肝障害を引き起こす。一般に、感染後10年以上経過してから症状を現すので、発見が遅れることが多い。悪性腫瘍(しゅよう)のように血流を介して他の臓器に転移することもある。
 治療としてはプラジカンテルなどの薬物療法も試みられているが、外科的に摘出する以外に確実な治療法はない。免疫診断などで早期発見に努める。[町田昌昭]

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世界大百科事典内の包虫症の言及

【エキノコックス】より

…ヒトもまた中間宿主で,イヌとの接触の際,イヌの体毛に付着した虫卵を知らずに摂取して感染することが多い。包虫の寄生部位としては,肝臓,肺が最も多く,そのほか腎臓,脾臓,脳などにも寄生し,その部位によっては致命的な包虫症echinococcosis(hydatid disease)の原因となる。一方,タホウジョウチュウの場合,終宿主はイヌ,キツネ,中間宿主は主として野ネズミの類であるが,その包虫は多房性であり,またタンホウジョウチュウの場合と異なり周囲が結合組織で覆われないため破れやすく,血行またはリンパを介して転移し多発することがある。…

【ジョウチュウ(条虫)】より

…一方,タンホウジョウチュウEchinococcus granulosusやタホウジョウチュウE.multilocularisの場合,終宿主はイヌ,キツネなどで,ヒトは中間宿主である。主としてイヌの体毛に付着した虫卵を経口摂取して感染するが,六鉤幼虫は小腸上部で孵化して腸壁に穿入(せんにゆう)し,肝臓,肺,脳などいろいろな臓器組織に至って包虫を形成し,ヒトに致命的な害(包虫症)を与える。またコガタジョウチュウHymenolepis nanaやシュクショウジョウチュウH.diminutaは,本来ネズミの寄生虫であるが,ヒトにも感染し,とくに子どもに多い。…

※「包虫症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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