地表の自然水、河川堆積(たいせき)物、氷河堆積物、土壌、岩石、植物および土壌ガス・蒸気などの分析を行って地下に存在する鉱床に由来すると考えられる微量元素(成分)を定量し、その分布状態から鉱床賦存の可能性を推定する探鉱法。地化学探査ともいう。一般に鉱床周辺には、鉱床生成時あるいは生成後の風化過程において鉱体構成元素(成分)が分散し、しばしば高濃集帯(分散ハローという)を形成することが知られているが、化学探査では、この分散ハローの異常を、探鉱地域の地形、地質、地質構造、鉱床学的知識などから総合的に解析し、探査の手掛りとする。また、特定の鉱床の存在を推定するために分析される特定の元素(成分)を指示元素とよんでいる。
化学探査の実施にあたっては、指示元素は目的鉱床の種類や試料の状態によって選択される。たとえば金・銀鉱床の探査には水銀、亜鉛、金、銀、ヒ素、銅・鉛・亜鉛鉱床には銅、鉛、亜鉛、水銀、硫酸イオン、水銀鉱床では水銀、石油・天然ガス鉱床にはメタン、エタンなどの炭化水素、二酸化炭素、窒素、水素、ヘリウム、地熱資源には水銀、ヒ素、ヘリウムなどが用いられる。
微量元素分析法としては、従来から用いられている比色分析に加えて、最近は機器分析による方法が発達し、発光分光分析、蛍光X線分析、原子吸光分析、ガスクロマトグラフィーgas chromatography、質量分析などが利用されている。実際の分析にあたっては、試料および指示元素の種類や性質、また必要精度によって分析方法が選ばれる。データ解析についても、近年コンピュータが導入され、多数の分析値が迅速に処理できるようになった。
なお、歴史的にみると、化学探査は地球化学の応用分野の一つとして発展した探鉱技術で、最初1930年代の中ごろ、ソ連およびスカンジナビアで独自に開発され、第二次世界大戦後に広くアメリカ、カナダ、イギリスなど各国でも行われるようになり発達した。
[港 種雄]
…今後,映像のみでなく,地球の他の物性についての情報も,同時に記録されるようになることも予想され,人工衛星による地質調査にたいする期待は大きい。
[物理探査,化学探査]
地表の地質構造の調査結果から,地下における岩石や地層(あるいは鉱床)がどのように分布しているか,ある程度の深さまで推定することは可能である。しかしながら,この推定を確かめたり,さらに深いところの状態を推定するためには,他の方法を用いなければならない。…
※「化学探査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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