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地球化学 ちきゅうかがくgeochemistry

翻訳|geochemistry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地球化学
ちきゅうかがく
geochemistry

化学的な方法により,地球のガス,水,岩石・鉱物中の元素存在度,同位体組成を調べ,地球表層や内部で行われているさまざまな地質学的過程を研究し,地球の起源と進化を明らかにする学問分野。 V.ゴルトシュミットはその先覚者で,岩石の化学組成から元素の宇宙存在度を推定した。隕石や月岩石,あるいは他の惑星化学組成について研究する宇宙化学も地球化学の一分野と考えられている。また地球化学は火山,温泉の研究,探鉱,公害問題,地震予知など実生活に関連の深いいろいろの分野で重要な役割を果している。

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デジタル大辞泉の解説

ちきゅう‐かがく〔チキウクワガク〕【地球化学】

地球全体、または各構成部の化学組成やその発生・移動・変化の機構などを、化学的方法で研究する学問。

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百科事典マイペディアの解説

地球化学【ちきゅうかがく】

地球を中心として,太陽系の隕石(いんせき)や惑星,さらに広範囲の宇宙を化学的な手段・方法で研究する学問。地球上の元素の分布や存在度,元素の移動と変化の機構等をおもに研究し,さらに地球や隕石の起源や進化,岩石の生成条件,生命の発生なども研究内容に含まれる。

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岩石学辞典の解説

地球化学

主に地殻の中の化学成分の分布に関する科学で,特に地質学的過程と同時に起こる物理化学的変化の下で,これらの成分の移動,置換,分散,濃集などの時間的および空間的の両方についての現象に関する科学.地球化学(geochemisry)という語は最初にシェーンバインによって使用された[Schönbein : 1838].ランカマとサハマは,地球化学をbiogochemistry, atomogeochemistry, hydrogeochemistry, lithogeochemistryとに区分した[Rankama & Sahama : 1950].

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世界大百科事典 第2版の解説

ちきゅうかがく【地球化学 geochemistry】

地球全体と地球の構成部分を化学的に研究する学問分野で,地球科学の中で一つの柱となる分野である。隕石や月試料など地球外物質を扱う宇宙化学も含めて地球化学と称することも多い。歴史的にみると,19世紀には岩石や鉱物,温泉水の分析が行われ,新元素発見にも寄与したが,学問としての体系化には至らなかった。なお,〈地球化学〉という用語は,ドイツのC.F.シェーンバインにより,1838年初めて用いられた。20世紀の初頭にアメリカのクラークF.W.Clarke,ノルウェーのV.M.ゴルトシュミット,ソ連のベルナツキーVladimir Ivanovich Vernadskii(1863‐1945)らにより体系化され,地球化学の基礎が築かれた。

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大辞林 第三版の解説

ちきゅうかがく【地球化学】

地球における元素や化合物の分布、その変化・循環の様子を化学の手法を用いて研究する科学。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地球化学
ちきゅうかがく
geochemistry

地球科学の一部門として、化学的な考え方や技術・方法を用いることによって地球の各部分に対する研究を行い、地球の全体像を解明しようとする学問。地球物理学と比べて地球化学の大きな特色は「物質」そのものを研究対象として取り扱うことで、化学分析が主体となり、一つの系内部や別の系との間の化学反応や化学平衡に関する問題などについても研究を行うことである。[脇田 宏]

研究範囲

地球化学や地球物理学、地質学などから得られる知見を総合して初めて整合性のある地球の姿が得られる。地球化学のもっとも重要な研究課題は地球の起源や進化に関する諸問題である。そのために、地球を構成する物質についての知識や、原始地球の集積されていく過程や形成の過程を解明することが必要であり、それと関連して、地球化学は、太陽系の物質(隕石(いんせき)や月の岩石、宇宙塵(じん)など)の研究から発展した「宇宙化学」や「惑星化学」などの分野をも包括する。地球は大気圏、水圏、岩石圏(リソスフェア)に大別することができ、さらに生物圏がある。地球化学的研究によって、地球の各部分を構成する物質の化学組成、同位体組成、さまざまな化学種の存在度や分布状態、それらの移動・循環の動態、酸化還元状態の推移や系内・系間の相互作用が明らかにされ、各系の進化に対する時間的尺度が得られる。
 大気圏では、大気の起源と進化、微量成分およびエーロゾル(浮遊微粒子、煙霧質、エアロゾルともいう)を考慮した大気組成の動態、化学・光化学反応、気体―粒子間の変換過程、自然的・人為的変動要因とその効果や影響などがおもな研究課題となる。大気圏と地球表面の75%を占める水圏との相互作用は、大気中の炭酸ガス(二酸化炭素)などのように地球の「温室効果」あるいは「冷却効果」と関連性をもち、今日の大きな問題となっている。水圏は陸水と海洋とに区分できる。陸水については、海洋への供給源として、また、風化・侵食による影響、地すべり災害、あるいは水資源の問題とも関連して化学的作用の解明が重要である。海洋は、起源と進化、海水の化学組成、深海を含めた海洋循環、海水中の物質の循環、堆積(たいせき)環境、海水―岩石相互作用、熱水反応、海底温泉、海底火山活動、鉱床の形成などと関連して、岩石圏の研究とも密接に結び付いてくる。岩石圏ではマントルと地殻との相互作用が主要な問題となる。マグマの生成、進化に関する機構の解明、元素の分配、高温・高圧状態での化学反応など基礎的な研究、岩石・鉱物を対象とした多岐にわたる研究がある。また、地殻は火山の噴火、地震の発生など人間の社会生活にも大きな影響を与える場であり、地殻内部での化学変化、地下水のダイナミックス(移動・循環・変質など)に関する研究や観測から、災害の軽減を目ざした領域も開かれている。文明の発達に伴い解決が急がれている環境の悪化、公害などの防止を目的として社会地球化学的研究も行われている。資源問題に関連して、鉱床、石油、天然ガス、地熱などの探査や研究も地球化学の分野である。
 外国の著名な地球化学者としては、クラーク数として知られる地表付近における元素存在度の推定を試みたアメリカのF・W・クラーク、岩石中の元素の分配がイオン半径と電荷に支配されることを示したノルウェーのV・M・ゴルトシュミット、隕石の研究から宇宙化学を発展させたアメリカのH・C・ユーリーなどがいる。日本では柴田雄次(しばたゆうじ)が先導的研究を始めた。[脇田 宏]
『半谷高久・一国雅巳他著『地球化学入門』(1988・丸善) ▽兼岡一郎他著『地球化学』(1989・講談社) ▽藤原鎮男編『地球化学の発展と展望』(1997・東海大学出版会) ▽日本地球化学会監修『地球化学講座』全8巻(2003~2010・培風館) ▽野津憲治著『宇宙・地球化学』(2010・朝倉書店)』

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世界大百科事典内の地球化学の言及

【化学】より

…またシリコーンに代表されるケイ素高分子も,20世紀に入ってキッピングFrederic Stanley Kipping(1863‐1949),ロショーEugene G.Rochow(1909‐ )らによって開発された。 化学の多様化の例として地球化学,宇宙化学の例を挙げることができる。〈地球化学〉という語はすでに1838年C.F.シェーンバインによって用いられたが,19世紀末から20世紀初めにかけてのクラークFrank Wigglesworth Clarke(1847‐1931)は,地殻中の元素の量の標準値を求めた(クラーク数)。…

※「地球化学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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