北太平洋東部の海面上に中心をもつ大高気圧で,大西洋上のアゾレス高気圧に対応する半永久的な高気圧。この高気圧の南側から赤道へ流れる北東の気流が,太平洋の貿易風である。冬季は中心が少し東に移り,平均して西経145°,北緯30°付近にあり,その一部がマリアナ諸島をおおっている。夏季はやや北上し,中心は西経155°,北緯35°付近に移る。アリューシャン低気圧の衰えに対応し,この高気圧は北太平洋のほとんど全域をおおい,その西方への張出しを小笠原高気圧と呼んでいる。北太平洋高気圧は赤道上空から北極に向かう大気の流れが亜熱帯上空で集積し,一部沈降することと,上空の偏西風が北半球の海陸分布に応じて大規模な波動をつくることで維持されている。
執筆者:斎藤 直輔
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北太平洋で発達する高気圧。その主体は亜熱帯の海上で発達する亜熱帯高気圧であるが、これに高緯度方面より南東進してきた移動性高気圧が近づいて、停滞、合体して勢力が強まる場合が多い。夏季に優勢で、その範囲も北に広がる。構造的には背の高い温暖高気圧である。
夏季の北太平洋高気圧は月平均気圧分布図では単一の大きな高気圧として表されるが、個々の日の天気図では、三つぐらいの中心があり、一つは日本の南または南東の小笠原(おがさわら)諸島の近海、一つは北太平洋中部、そしてもう一つはハワイ諸島の北にあることが多い。そこで北太平洋高気圧は「小笠原高気圧」とか「ハワイ高気圧」とよばれることがある。
なお、北大西洋にも、北太平洋高気圧と同種の北大西洋高気圧があり、島の名前を冠して、アゾレス高気圧、バーミューダ高気圧などとよばれている。
[倉嶋 厚]
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…この気団は,春秋には低気圧が本州を北上する時に日本に一時的に侵入する。夏季は北太平洋高気圧が北上して本州を支配するとこの気団が卓越する。梅雨期は前線に向かって収束した状態で現れるので力学的な変質があり,同時に西方からの気流も混在するので,純粋な小笠原気団とは異なっている。…
…北太平洋高気圧の一部で,日本の南方洋上に広がっている部分を小笠原高気圧と呼んでいる。半球規模の大気の循環に由来する半永久的な亜熱帯高気圧で,大気の中・上層には沈降気流が卓越し,地上から2~3kmのところで気温の逆転層がみられ,乾燥している。…
※「北太平洋高気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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