出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本付近に現れる亜熱帯高気圧の一つ。極東天気図では小笠原諸島方面が高気圧の中心となったり、あるいは高気圧の張り出しがこの方向に伸びている形になるので、この名前がついた。しかし広い天気図をみると、小笠原高気圧は、アメリカ西岸からフィリピン方面に東西に伸びる北太平洋の亜熱帯高圧帯の一部であり、中心がいつも小笠原諸島近傍にあるとは限らない。構造的には背の高い温暖高気圧である。夏季に優勢で、本州を広く覆うと、いわゆる「鯨の尾型(くじらのおがた)」の天気図になり、盛夏の炎天が安定し、ときには干魃(かんばつ)になる。オホーツク海高気圧、シベリア高気圧とともに、日本の気候の特徴を形成する気圧系、いわゆる「作用中心」(広地域の天候を支配する気圧系)の一つである。
[倉嶋 厚]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…夏季はやや北上し,中心は西経155゜,北緯35゜付近に移る。アリューシャン低気圧の衰えに対応し,この高気圧は北太平洋のほとんど全域をおおい,その西方への張出しを小笠原高気圧と呼んでいる。北太平洋高気圧は赤道上空から北極に向かう大気の流れが亜熱帯上空で集積し,一部沈降することと,上空の偏西風が北半球の海陸分布に応じて大規模な波動をつくることで維持されている。…
※「小笠原高気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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