亜熱帯高気圧の支配下にある亜熱帯や熱帯の海上でその特性が形成される気団は海洋性熱帯気団と呼ばれる。この中で特に日本の本州以南に入ってくる気団を小笠原気団と名付けている。この気団の最下層は多湿で高温であるが,地上から2km以上では沈降運動のため比較的暖かく,乾燥している。鉛直安定度はポテンシャル不安定(対流不安定)を示すことが多く,対流活動が現れる可能性をもっている。この気団は,春秋には低気圧が本州を北上する時に日本に一時的に侵入する。夏季は北太平洋高気圧が北上して本州を支配するとこの気団が卓越する。梅雨期は前線に向かって収束した状態で現れるので力学的な変質があり,同時に西方からの気流も混在するので,純粋な小笠原気団とは異なっている。
執筆者:斎藤 直輔
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