千両箱(読み)センリョウバコ

デジタル大辞泉 「千両箱」の意味・読み・例文・類語

せんりょう‐ばこ〔センリヤウ‐〕【千両箱】

江戸時代金貨幣保管用の容器。ふつう、小判千両を収納するので千両箱とよばれたが、二千両入り・五千両入りのものもあり、箱の大きさは一定しない。
多額の金銭を生み出すもと
「お二人ながら竹屋の―でござります」〈洒・通言総籬

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精選版 日本国語大辞典 「千両箱」の意味・読み・例文・類語

せんりょう‐ばこセンリャウ‥【千両箱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代に、金貨幣を保管するのに用いた容器。当初、金千両を収納したところからの名称。後には五百両しか収納できない小型のもの、あるいは一万両も入れられる大型のものも称した。大きさも大判の千両(大判一〇〇枚)、小判の千両(小判一〇〇〇枚)、一分金の千両(一分金四〇〇〇枚)では容積が異なるので、箱の大きさは必ずしも一定したものではない。また、様式の上からも種々雑多であり、普通は松・檜・欅など木製のものであるが、まれに青銅製のものもあり、これは石蔵などに保蔵されたものとみられる。
    1. 千両箱<b>①</b>
      千両箱
    2. [初出の実例]「千両箱に手ごたへはなし」(出典:俳諧・武玉川(1750‐76)四)
  3. を生みだすことができる非常に価値あるもの。また、有能な人をいう。
    1. [初出の実例]「お二人ながら、竹屋の千両箱でござります」(出典:洒落本・通言総籬(1787)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「千両箱」の意味・わかりやすい解説

千両箱 (せんりょうばこ)

江戸時代に1000両の貨幣を収蔵することを目的として造られた箱。千両箱は小判や一分金の25両包みが40個入れられた。大判用の千両箱もあり,安政期(1854-60)以後には二分金用の千両箱も現れた。箱の用材には松やヒノキが使われ,角や重要なところは鉄板で補強され,運搬貯蔵の便を与えていた。大きさには多くの種類が見られたが,縦40cm,横14.5cm,深さ12.3cmのものが比較的多い。なお千両箱には2000両くらい入れうる箱も見られ,また5000両入りや1万両入りのものも造られていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千両箱」の意味・わかりやすい解説

千両箱
せんりょうばこ

江戸時代における金貨の貯蔵および運搬のための容器。松または檜(ひのき)の頑丈な用材でつくられ、定形はないが、おおよそ縦15~25センチメートル、横40~50センチメートル、高さ10~15センチメートルの大きさで、空き箱だけでも約一貫目(3.75キログラム)の重量があった。もともと金一千両の小判ないし二分判を入れるものであったが、江戸後期における貨幣改鋳に伴う小判の小型化により、一千両入りのほか、二千両、五千両入りのものもつくられた。また、一種の手箱形金庫ともいうべき50~100両入りの小型金箱も現れた。ただし、一般に金「一箱」は一千両をさした。なお、銀貨銭貨についてはそれぞれ銀箱、銭箱(ぜにばこ)があった。

[岩橋 勝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千両箱」の意味・わかりやすい解説

千両箱
せんりょうばこ

江戸時代,小判 1000両が入るようにつくられたひのきまたは松製の箱。小判は江戸時代の標準金貨で,初期には1両が銀 50匁,銭4貫と同価とされたが,その後変動があった。

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