千葉胤成(読み)ちばたねなり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「千葉胤成」の意味・わかりやすい解説

千葉胤成
ちばたねなり
(1884―1972)

心理学者。宮城県の生まれ。1905年(明治38)京都帝国大学文科大学に第1期生として入学、大学院に進んだが、松本亦太郎(またたろう)の実験心理学に失望して哲学宗教に近づき、文学博士号は西田幾多郎(きたろう)によって与えられた。同大学助教授のとき、ドイツのライプツィヒ大学に留学、留学中に東北帝国大学法文学部教授に内定、故W・ブントの蔵書2万冊を東北大学に購入して帰国。東京、京都に次いで第三の心理学研究室を仙台に開設、1933年(昭和8)よりは欧文の雑誌を、続いて心理学研究叢書(そうしょ)を刊行して東北学派の研究を発表した。1940年には「満州国」の建国大学に行き東北学派の俊英を集めて満州心理学を建設しようとしたが、第二次世界大戦の敗戦により挫折(ざせつ)。帰国後は宮城県教育研究所所長、新潟大学教育学部長などを歴任した。彼の心理学は固有意識一種の無意識)の概念を追究する特異な心理学であった。

[宇津木保]

『『千葉胤成著作集』全4巻(1972・協同出版)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「千葉胤成」の解説

千葉胤成 ちば-たねなり

1884-1972 明治-昭和時代の心理学者。
明治17年9月21日生まれ。大正12年東北帝大教授となり,心理学講座を開設。第二次大戦中は満州国建国大教授,戦後は宮城県教育研究所所長,新潟大教授などを歴任。固有意識を中心とする心理学の体系化を追究した。昭和47年3月18日死去。87歳。宮城県出身。京都帝大卒。著作に「意識」など。

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