南小国(読み)みなみおぐに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南小国」の意味・わかりやすい解説

南小国(町)
みなみおぐに

熊本県北東部阿蘇郡(あそぐん)にある町。1969年(昭和44)町制施行。国道212号、442号、別府阿蘇道路(やまなみハイウェイ)が通じる。名を古くからの地域呼称である「小国」の南部に位置することから生じたこの町域は、阿蘇外輪山地の北向き斜面とそれに連なる丘陵地とからなる。江戸時代から有名な「小国スギ」の育成林業はいまも盛んであるが、近年盛んになってきたのが、乳牛、赤牛の飼育と、高冷な土地条件を生かした野菜果樹花卉(かき)の栽培である。とくに産地指定を受けたダイコン、ジャージー牛の導入などは農業形態を変えつつある。また、黒川、田の原(たのはる)、小田満願寺(まんがんじ)などの温泉があり、国民保養温泉に指定されている。満願寺に国指定重要文化財の絹本著色伝北条時定(ときさだ)像、同伝北条時宗(ときむね)像があり、付近に国指定天然記念物の金比羅スギ(こんぴらすぎ)や、県指定の文化財なども多数集中しており、南小国観光の中核をなしている。面積115.90平方キロメートル、人口3750(2020)。

[山口守人]


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改訂新版 世界大百科事典 「南小国」の意味・わかりやすい解説

南小国[町] (みなみおぐに)

熊本県北東部,阿蘇郡の町。人口4429(2010)。阿蘇外輪山の北側斜面がほぼ全域に展開し,東部は九重連山のすそ野が占める。杖立川の支流が樹枝状に谷を刻み,川沿いにわずかな低地がある。産業の中心は農林業で,米作のほか,高冷地野菜やシイタケの栽培,肉牛や乳牛の飼育などが行われる。また〈小国杉〉として知られる杉の良材を産し,製材所が多い。九重連山西麓の瀬ノ本高原には九州横断道路(やまなみハイウェー。1994年無料開放)が通じ,宿泊施設,キャンプ場が整備されている。黒川温泉満願寺温泉,田ノ原温泉は南小国温泉郷と総称され,国民温泉に指定されている。金比羅杉,志津川オキチモズク紅藻類)発生地,竹の熊の大ケヤキはいずれも天然記念物。東部の山地は阿蘇くじゅう国立公園に含まれる。
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百科事典マイペディア 「南小国」の意味・わかりやすい解説

南小国[町]【みなみおぐに】

熊本県北部,阿蘇郡の町。阿蘇外輪山北斜面とくじゅう連山西斜面を占め,小国盆地中に国道212号線が通じる主集落赤馬場がある。小国杉の美林地帯で,製材,野菜・シイタケ・タバコ栽培,畜産が盛ん。国民保養温泉の満願寺温泉(含食塩硫黄泉,33℃),黒川温泉がある。115.90km2。4429人(2010)。

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