南部煎餅(読み)ナンブセンベイ

デジタル大辞泉 「南部煎餅」の意味・読み・例文・類語

なんぶ‐せんべい【南部煎餅】

水溶き小麦粉を焼き固めた煎餅の一。青森県東部から岩手県北部の南部氏旧支配地域の特産生地甘味を加え、ごまや落花生を入れて円形に焼いたものが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南部煎餅」の意味・わかりやすい解説

南部煎餅
なんぶせんべい

岩手盛岡市と青森県八戸(はちのへ)市の名物煎餅。八戸市では八戸煎餅と称している。ごつごつと不細工な形の小麦煎餅だが、ふんだんにごまをまぶした淡泊な塩味は、江戸末期から「古女房の味」とこの地方の庶民に親しまれてきた。現在は落花生入りの甘い煎餅もつくられている。南部煎餅が商品として売り出されたのは1830年(天保1)、南部支藩八戸2万石の三日町に、市(いち)の立ったときである。同藩の鉄砲鍛冶(かじ)竹之助は、南部の庶民が主食がわりにそば煎餅を食べるのに着目鋳鉄で直径10センチメートル、厚さ4ミリメートルの煎餅型をつくり、そば粉を小麦粉に変えて焼き上げたのが始まり(土地の古老はいまも南部煎餅をそば煎餅という)であった。この煎餅はたちまち盛岡にも伝えられ名物となった。

[沢 史生


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事典 日本の地域ブランド・名産品 「南部煎餅」の解説

南部煎餅[菓子]
なんぶせんべい

東北地方、岩手県の地域ブランド。
南部煎餅の由来として代表的ものは、600年ほど前(建徳年間)、長慶天皇が南部地方巡幸の際、家臣が付近の農家から手に入れたそば粉を練って丸い形に焼き、ごまをふったものを天皇に供したというものである。その後、南部藩領民が、そばや大麦を主原料として主食や間食用として食べていた。明治時代に入り小麦粉が主原料となった頃から商品として本格的につくられるようになった。1952(昭和27)年、砂糖の統制解除とともに洋菓子が普及、一時哀退するが、全国で実演即売をおこなうなどのPRをした結果、岩手の代表的銘菓として評価を得るようになった。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

デジタル大辞泉プラス 「南部煎餅」の解説

南部煎餅

青森県、岩手県の名物菓子。小麦粉を用いた大判の固い煎餅。「津軽煎餅」「八戸煎餅」とも。

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