中国古代の身分制度。西周(せいしゅう)時代以来、周王や諸侯の臣下の身分としてこの三つの階層が存在し、支配者として、被支配階層である庶人に臨んでいたとされる。大夫は、周王の直轄地では周王に、諸侯の国ではそれぞれの諸侯によって封建された同族や異族の小領主であり、そのうち大臣となるものが卿と称された。士は、大夫の一族中の男子や原住農民集団の長などからなるとされ、戦士として大夫の兵団を構成した。ところが、春秋時代後半になると、周の王室や諸侯の国の実権は有力な大夫の家に移り、さらにその末期には士の階層が大夫を抑えて実権を握るようになり、こうした身分制度はしだいに形骸(けいがい)化していった。しかし、これらの称号自体は、秦(しん)・漢(かん)以後の各王朝の官僚制度のなかに残存し、また士の称号などは、あるいは士大夫(したいふ)と連称して、官職にある者一般、さらには読書人、知識人といった社会階級をさすことばとしても用いられた。
[江村治樹]
周王や諸侯の臣下を卿・大夫・士といい,その下の庶人と区別された。『礼記』(らいき)によれば,天子(周王)には三公,九卿,二七大夫,八一元士が並び,諸侯には上大夫卿,下大夫,上士,中士,下士の5等があった。諸侯には公,侯,伯,子,男の5等があったが,戦国時代以降は庶民にも爵が与えられて20等爵にふえた。公士,大夫などの名称が残り,士大夫も有職者のことをいう。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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