(読み)ケイ

デジタル大辞泉 「卿」の意味・読み・例文・類語

けい【卿】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ケイ(漢) キョウ(キャウ)(呉) [訓]かみ
〈ケイ〉
政治を行う重臣大臣。「卿相けいしょう九卿上卿しょうけい
古代中国で、身分の高い階級。貴族。「卿大夫けいたいふ
同輩を呼ぶ敬称。「諸卿
〈キョウ〉
1に同じ。「公卿くぎょう大蔵卿おおくらきょう
爵位の一。サー。「ニュートン卿」

きょう〔キヤウ〕【×卿】

[名]
律令制で、八省長官
大納言中納言三位以上の人と四位参議をいう敬称。公卿
明治太政官制で、各省の長官。
[接尾]英国で、爵位を持つ人の氏名に付ける尊称。SirやLordの訳語。「リットン

けい【×卿】

[名]
大納言中納言・三位以上および四位の参議の人。きょう。
中国代、天子諸侯臣下最上位の身分。
[代]二人称の人代名詞
男子が同輩などを、軽い敬意をこめて呼ぶ語。
「余は―を一廉ひとかどの店の主人にもなさばやと思い居たれど」〈蘆花自然と人生
君主が親しみを込めて臣下に呼びかける語。

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精選版 日本国語大辞典 「卿」の意味・読み・例文・類語

きょうキャウ【卿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 令制での八省の長官(かみ)。また、明治の太政官制で、各省の長官をいった。
      1. [初出の実例]「右大臣以上。及八省卿。諸司長。並為長官」(出典:令義解(718)獄)
    2. 公卿(くぎょう)。三位(さんみ)、参議以上の公家(くげ)。上級の貴族。
      1. [初出の実例]「太政官処分。唱考之日。三位称卿。四位称姓。五位先名後姓。自今以去。永為恒例」(出典:続日本紀‐養老五年(721)一〇月癸未)
    3. きょう(卿)の殿
    4. 代名詞的に用いて、貴人を敬っていう。また、一般に相手を尊んで呼ぶことば。あなた。御身(おんみ)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( [英語] Lord または Sir の訳語 ) 英国で、爵位をもつ人の名に付ける尊称。「ウィンストン=チャーチル卿」

けい【卿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 古代中国における世襲的身分の一つ。天子や諸侯の有力家臣を卿・太夫・士の三等に分けるそのもっとも上位の身分。爵(しゃく)。〔礼記‐王制〕
    2. きょう(卿)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。改まった文章などで、軽い敬意をこめて用いる。
    1. 君主が臣下に対して用いる。
      1. [初出の実例]「吾今日以天下卿」(出典:日本外史(1827)一六)
    2. 男子が同輩や目下の者、妻に対して用いる。
      1. [初出の実例]「卿(ケイ)が朱唇を一嘗するを得ば」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一)
      2. [その他の文献]〔古詩‐為焦仲卿妻作詩〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「卿」の意味・わかりやすい解説


きょう

明治2 (1869) 年7月8日の職員令制定により,中央には神祇官,太政官,民部,大蔵,兵部,刑部,宮内,外務の「二官六省」が設けられたが,その各省の長官にあたる官職を卿とした。相当位は正三位。数次の官制改革に伴い諸省は合併改廃を経たが,各省長官である卿の名称は,1885年 12月 22日の太政官達 69号による内閣制度の発足とともに官制から姿を消した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「卿」の解説


けい

周代,家臣団の最上の身分
大夫・士の上にあり,ともに支配階級を構成した。二人称代名詞として用いられることもある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「卿」の解説

卿(けい)

卿(けい)・大夫(たいふ)・士(し)

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【春秋戦国時代】より

…秦は前256年に周王室を滅ぼし,前246年に秦王政(のちの始皇帝)が即位し,蒙恬(もうてん)らの名将を派遣し,前230年に韓を滅ぼしてより,趙,魏,楚,燕と順次打倒し,前221年に最後の斉を滅ぼして,中国を統一するにいたった。
[政治,社会]
 この時代初期には,社会的に王侯,卿・大夫,士,庶人の4級の身分があり,その下に奴隷があったとされる。卿・大夫は身分としては一つであるが,王侯の下で政治上の重要な相の地位についた大夫を卿とよぶ。…

※「卿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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