改訂新版 世界大百科事典 「反穀物法同盟」の意味・わかりやすい解説
反穀物法同盟 (はんこくもつほうどうめい)
Anti-Corn Law League
1840年代のイギリスにおいて自由貿易運動を推進した商工業者・銀行家の政治団体。1820年代から自由貿易を目ざす気運が急速に高まり,綿製品を中心に輸出入関税の軽減が着実に進んだが,国内産穀物の保護を定めた穀物法は,農業諸階級の広範な支持をうけ,議会を制していた地主階級もこの法律の撤廃には応じようとしなかった。しかし38年にいたって,ブルジョア階級の間に穀物法への反感が著しく高まり,マンチェスターの商工業者が中心となって反穀物法協会(翌年,同盟に改組)を結成した。同盟は運動の先頭に,徹底的な自由貿易論者として知られるコブデンとブライトを立て,豊富な資金を用いて国会議員の選挙戦に干渉するなど,全国にわたって活発な穀物法撤廃運動を展開し,46年,ついにその目的を達し,イギリスは自由貿易政策を確立した。同盟の一つの特色は,終始,政治の圧力団体として活動したということで,目的の達成と同時に解散した。
執筆者:村岡 健次
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