コブデン(読み)こぶでん(英語表記)Richard Cobden

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コブデン」の意味・わかりやすい解説

コブデン
Cobden, Richard

[生]1804.6.3. サセックス,ミッドハースト近郊
[没]1865.4.2. ロンドン
イギリスの政治家。マンチェスター派の指導者。 J.ブライトと並び称される自由貿易運動の代表者。 1828年友人とキャラコ商を始め,31年ランカシャーに工場を設けてキャラコ捺染工業を開始し,翌年マンチェスターに定住した。 38年数人のマンチェスター商人とともに「穀物法」撤廃運動を開始し,翌年には「反穀物法同盟」という全国的組織に拡張してその指導者となった。 41年下院議員となり,ブライトらと協力して穀物法廃止に成功 (1846) 。その後は大陸諸国を歴訪して自由貿易を説き (46~47) ,また国際仲裁裁判と軍縮の必要を内外に訴えた。パーマストン内閣 (55~58) のクリミア戦争アロー戦争への積極的介入に反対し,57年政府の外交政策弾劾動議の成立に成功したが,翌年の選挙ではブライトとともに落選。 59年再選され,第2次パーマストン内閣に入閣を求められたが拒絶した。しかし 60年の英仏通商条約の締結には率先して尽力,またアメリカ南北戦争に際しては北部を支持した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コブデン」の意味・わかりやすい解説

コブデン
こぶでん
Richard Cobden
(1804―1865)

イギリスの政治家。サセックスの農家に生まれる。父が農業経営に失敗したため親類に引き取られ、成人後キャラコ染色業を経営し成功、政治活動に入った。反穀物法協会に参加、1839年この組織が反穀物法同盟に発展すると、ブライトとともにその中心的指導者となり、穀物法を廃止に導いた。自由放任主義を唱えたマンチェスター学派の代表的人物で、自由貿易政策の主唱者であり、また小さな政府を唱え、海外に対する干渉に反対し、平和主義的立場を通したことでも知られている。

[岡本充弘]

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