アメリカの物理学者。ニューヨーク、ウィスコンシン、エールの各大学教授を歴任した。1925年、電離層の研究に対しての有力な手段となったパルス変調法をチューブMerle A. Tuve(1901―1982)らとともに考案し、さらに陽イオン加速用の電源として使用するためのテスラ・コイルの開発に取り組んだ。1929年には二電子系の相対論的な波動方程式に近似するブライト方程式を提出した。さらに原子核物理学の研究を進め、1937年複合核の仮想的なエネルギー準位の共鳴を考える共鳴公式をウィグナーと独立に発表した(ブライト‐ウィグナーの公式)。
[小林武信]
イギリスの政治家。ロッチデールの綿工場主の家に生まれる。クェーカー教徒で、1843年に国会議員に初当選、以来生涯を改革的な議員として通した。非国教徒としての立場から国教的な宗教制度に反対するとともに、綿工場主の利害を代表し、自由放任主義を主張、コブデンとともにマンチェスター学派を代表する人物となった。その活動範囲は自由貿易の拡大、財政、土地制度、宗教制度の改革、クリミア戦争に対する反対、アメリカ南北戦争の際の北軍への支持、エジプトに対する軍事干渉への反対などの多方面に及んだが、なかでも反穀物法同盟の指導者として同法を廃止に導いた(1846)ことで知られている。
[岡本充弘]
イギリスの政治家。ランカシャー,ロッチデールの出身。父は繊維工場の経営者で,クエーカー教徒であった。16歳で家業に従事したが,R.コブデンと出会って,1839年反穀物法同盟に参加,43年下院議員となり,コブデンとともに自由貿易運動を指導した。46年の穀物法廃止後,47年からマンチェスター選出の代議士となり,自由貿易運動をさらに推進したが,平和主義の立場からクリミア戦争に反対したため,57年の選挙では落選した。61年アメリカに南北戦争が勃発するや,敢然として北部を支持,67年の第2次選挙法改正に際しては,ブルジョア急進主義者として改正運動の先頭に立った。68年以後,自由主義者グラッドストンの陣営に加わり,彼の第1次内閣の商相を務め(1868-70),また80年からの第2次内閣にも入閣したが,82年にグラッドストンがエジプトに干渉するに及んで閣外に去った。19世紀のイギリスにおいて,コブデンとともにマンチェスター派の自由主義を代表した。
執筆者:村岡 健次
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1811~89
イギリスの政治家。綿工場主でクエーカー教徒の家に生まれる。1839年コブデンとともに反穀物法同盟を組織し,自由貿易を唱えた。43~89年自由党所属の下院議員,68~70年商相,73~74年,80~82年ランカスター公領相,86年グラッドストンのアイルランド自治法案に反対して,自由党を離れた。
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…こうした理論的背景のもと,自由貿易運動はイギリスにおいて1820年の〈ロンドン商人の請願〉をはじめとして20年代に高まった。39年の〈反穀物法同盟〉結成以後再び運動は高まりをみせ,R.コブデン,J.ブライトらの指導による運動の影響もあって,46年には穀物法廃止に至る。その後,自由貿易は60年の英仏通商条約等の一連の条約として結実するが,80年前後には早くも帝国主義時代の始まりの前にふきとんでしまった。…
…しかし38年にいたって,ブルジョア階級の間に穀物法への反感が著しく高まり,マンチェスターの商工業者が中心となって反穀物法協会(翌年,同盟に改組)を結成した。同盟は運動の先頭に,徹底的な自由貿易論者として知られるコブデンとブライトを立て,豊富な資金を用いて国会議員の選挙戦に干渉するなど,全国にわたって活発な穀物法撤廃運動を展開し,46年,ついにその目的を達し,イギリスは自由貿易政策を確立した。同盟の一つの特色は,終始,政治の圧力団体として活動したということで,目的の達成と同時に解散した。…
※「ブライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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