六訂版 家庭医学大全科 「口唇・口腔内の損傷」の解説
口唇・口腔内の損傷
こうしん・こうくうないのそんしょう
Lip, intraoral injury
(外傷)
どんな外傷か
口の周囲および口のなかを損傷するもので、
原因は何か
犬による咬創が口の周囲に多くみられます。犬が本能的に攻撃する部位にあたるためです。バイクや自転車で転んだ時の挫滅創や擦過創は、皮膚の直下に骨のある上唇によくみられます。
幼児では
自分の歯で
症状の現れ方
犬による咬創は、口唇周囲の切創(図22・左)、刺創、割創の状態で生じます。バイクなどの転倒事故では擦過創が多く、適切な処置をしないと傷が道路の砂などを含んだまま治って、青色の外傷性
幼児では箸、先のとがった玩具などが転倒などの拍子に突き刺さり、折れてなかに取り残されることがあります。当初は気づかなくても4~5日後に発赤、はれ、感染を生じます。
検査と診断
事故が明確な時は原因、診断が容易です。家族のいあわせない時の幼児の事故では現場をよく観察し、玩具などの破損の有無をチェックします。異物混入にはMRI、CT検査が必須です。
治療の方法
全般的な傷の汚染のため、
深い切創、割創は筋層、皮膚と二層に縫合します(図22・中)。外傷性刺青の生じやすい擦過創は、ただちに異物をブラシで洗浄除去します。それでも刺青が生じた場合は、後日ルビーレーザーやアレクサンドライトレーザーで治療すると著しく改善します。
箸や先のとがった玩具などの異物の存在がわかれば、手術的に摘出しないと長期間感染が続きます。
小川 豊
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報