句題和歌(読み)クダイワカ

デジタル大辞泉 「句題和歌」の意味・読み・例文・類語

くだい‐わか【句題和歌】

句題1によって詠む和歌

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「句題和歌」の意味・読み・例文・類語

くだい‐わか【句題和歌】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 句題によってよんだ和歌。「句題和歌集」「句題百首」など。
  2. [ 2 ] 平安時代の歌集。一巻。大江千里の作。宇多天皇勅命に対して、漢詩句を題とした和歌を詠じ、句題を伴わない詠懐の和歌を加えて応じたもの。成立流布本に寛平六年(八九四)、書陵部本に同九年とある。自序を付し、部立は漢詩文集的。句題の出典白楽天の詩句によるものが多い。千里集。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「句題和歌」の意味・わかりやすい解説

句題和歌
くだいわか

平安前期の歌人大江千里(おおえのちさと)の家集。『大江千里集』ともいう。894年(寛平6)成立。宇多(うだ)天皇より古今の和歌の類聚(るいじゅう)を求められたのに対し、唐詩の一句を題とした翻案歌110首(現存本は115首)をそれぞれの摘句とともに番(つが)えて、これを漢詩文集の部類をも参考に、春、夏、秋、冬、風月、遊覧離別述懐に分類し、末尾に自詠和歌10首(詠懐)を添えて献上したもの。和漢対照様式の斬新(ざんしん)な趣向当代の好尚を反映するものだが、佳句撰(せん)的傾向が強く、題詠歌としては習作の域を出ない。出典の判明する88句中の8割が白楽天詩からの摘句である。

[渡辺秀夫]

『金子彦二郎著『増補 平安時代文学と白氏文集 句題和歌・千載佳句研究篇』復刻版(1977・芸林舎)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の句題和歌の言及

【大江千里】より

…博覧で《貞観格式》の編者の一人。家集に,《白氏文集》の詩の一句を題にして詠んだ《大江千里集》(別名《句題和歌》)があり,一種の翻訳文学として注目される。〈文集嘉陵春夜の詩,不明不暗朧々月といへることをよみ侍りける 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしく物ぞなき〉(《新古今集》巻一)。…

※「句題和歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android