平安前期の歌人大江千里(おおえのちさと)の家集。『大江千里集』ともいう。894年(寛平6)成立。宇多(うだ)天皇より古今の和歌の類聚(るいじゅう)を求められたのに対し、唐詩の一句を題とした翻案歌110首(現存本は115首)をそれぞれの摘句とともに番(つが)えて、これを漢詩文集の部類をも参考に、春、夏、秋、冬、風月、遊覧、離別、述懐に分類し、末尾に自詠和歌10首(詠懐)を添えて献上したもの。和漢対照様式の斬新(ざんしん)な趣向は当代の好尚を反映するものだが、佳句撰(せん)的傾向が強く、題詠歌としては習作の域を出ない。出典の判明する88句中の8割が白楽天詩からの摘句である。
[渡辺秀夫]
『金子彦二郎著『増補 平安時代文学と白氏文集 句題和歌・千載佳句研究篇』復刻版(1977・芸林舎)』
…博覧で《貞観格式》の編者の一人。家集に,《白氏文集》の詩の一句を題にして詠んだ《大江千里集》(別名《句題和歌》)があり,一種の翻訳文学として注目される。〈文集嘉陵春夜の詩,不明不暗朧々月といへることをよみ侍りける 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしく物ぞなき〉(《新古今集》巻一)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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